2アウトになったら捕手はランナーをせずにベンチへ戻り、代わりのランナーを出せるルールが存在する。
野球でなくソフトボールのルールだが、そのランナーをテンポラリーランナーと呼ぶ。
テンポラリーランナーとは
ソフトボールで2015年に導入されたばかりと、歴史の浅いルールである。
内容は捕手が2アウトでランナーに出たとき、打順の一番遠いランナーに代えることができる。
また捕手がランナーでいるときに2アウトとなった際も適用できる。
【例1】
2アウトから4番打者の捕手が出塁。
そのランナーを3番打者と交代できる。
3番打者が出塁中の場合は2番打者、3.2番打者が出塁中の場合は1番打者と交代できる。
【例2】
1アウトから4番打者の捕手が出塁。
続く5番打者が打ち取られ2アウト。
2アウトになった時点で3番打者(出塁中なら例1同様)と交代できる。
テンポラリーランナーは使用しなくても良く、攻撃側チームに決定権があるルールだ。
作戦
テンポラリーランナーにより作戦の幅は広がる。
足の早い選手・走塁のうまい選手を捕手の打順の前に置くことで得点のチャンスを広げることが可能。
またテンポラリーランナーが盗塁をすれば、その盗塁をしたテンポラリーランナーに盗塁の記録が付くため、盗塁王を狙う際にも有効的。
指名打者を使用せず投手に打たせる場合には注意が必要だ。
投手を走らせることは、その後の投球に悪影響を及ぼす可能性が増えるということだ。
よって捕手の前に投手を打たせる打順だと、投手の体力温存からテンポラリーランナーを使いにくくなる。
投手を打たせる際には、必ず捕手の後ろにしなくてはいけない。
導入目的
捕手のプロテクター装着をイニング終了後でなく、イニング中にすることで試合時間短縮に繋がる。
野球にも導入されるか検証
テンポラリーランナーがソフトボールに導入された当時、野球界には無縁だと感じていた。
なぜなら野球とソフトボールでは、投げ方・イニング・ソフトボールではランナーがベース上でヘルメットを故意に取ったらアウトなど、ルールが異なり、お互い独自の変化を遂げてきた。
似ているようで全く別のスポーツなのである。
しかし2017年のルール改正でMLB(メジャーリーグベースボール)は、ソフトボール独自のルール故意四球(「敬遠します」と球審に申告すれば投球せず四球となる)を野球に導入したのだ。
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この前例によりソフトボール・野球の共有できる良いルールは積極的に共有していこうという流れができ、テンポラリーランナーも導入される可能性が高くなった。
おわりに
時間短縮を推奨している野球界。
テンポラリーランナーは将来的に導入したいというのが本音だろう。
ただしテンポラリーランナーは応急処置程度しか時間短縮に繋がらない。
時間短縮に本気で挑むのであれば、野球規則の抜本的改革が必要だ。
私はテンポラリーランナーの制度に賛成である。
走塁を武器にしている選手は更に活躍の場を増やすだけでなく、足の遅い強打者(捕手)の敬遠が減り、白熱した対戦を見る機会が増えるなど、見る側からしたら興奮の連続だ。
また審判からしても試合テンポの早さは魅力的だ。
体力・集中力は有限であり、試合が長いと選手だけでなく審判もだらけやすい。
捕手のプロテクター装置がゆっくりだと間延びし好ましくない。
高校野球ではないが、攻守交代を速やかに行ったテキパキとした試合は審判の集中力が持続しやすい。
よって私を始めた審判員はテンポラリーランナーを大いに歓迎する。