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メジャーでストライクゾーン変更の申し出~導入された場合の影響を分析~

野球で一番多く審判がコールするものは「ストライク」「ボール」であり、審判はこの判定を投球判定と言う。
プロ野球の9イニングであれば300球前後の投球がある。
スイングをしたものは打球として前に飛ぶかファール、空振りのためストライクとなるため投球判定をする必要がない。
1試合あたり200球前後の投球判定をし「ストライク」「ボール」をコールしている。

投球判定に欠かせないのがストライクゾーン。
このストライクゾーンは野球規則で決められてはいるが、審判により多少の誤差はある。
野球規則にはこのように書かれている。

打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間をいう。このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである。

この規則は今まで変わったことがない。
しかしこの規則でありストライクゾーンが変わろうとしている。

発案はMLB(メジャー・リーグ・ベースボール)から

2017年2月、MLBは選手会(メジャー選手で構成された労働組合に近い組織)に対し
『ストライクゾーンを2インチ(5cm)引き上げたい』
旨の申し出をした。
規則委員会を含めMLB内では可決されており、選手会が賛同すれば正式に導入される。

MLBとしてはストライクゾーンを引き上げ、打者が積極的に打ちにいく環境をつくりたい。
試合時間短縮に向けてだ。
しかし選手会としては打者が有利になり、投手が不利になることから難色を示している。

変更点詳細

ストライクゾーン引き上げは低め・高め両方が引き上げられるわけではない。
高めに関しては変わらない。
低めだけ引き上げる。
野球規則の変更箇所は
『ひざ頭の下部』→『ひざ頭の上部』
このひざ頭(ひざ間接部分の皿)が2インチ(5㎝)なのだ。

もしこのストライクゾーンが変更された場合、どのような影響があるかを徹底的に分析していく。

5㎝をイメージしやくすく

プロが使用しているボールは直径7.29~7.48㎝と決められている。
5㎝引き上げられたとしてもボール1個分に満たない。
ボール2/3個引き上げられるイメージだ。

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打者心理

低めいっぱいのストライクを打ったとしても打球は伸びないし打率も低い。
ただでさえ手を出しにくい。
追い込まれるまでは際どい低めは手を出さない打者が多いなか、低めがボールになる確率が上がるのだ。

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打者からしたら今まで『際どい』と感じていたコースに手を出さず『間違いなくストライク』と思っていた高さのボールにだけ手を出す。

投手心理

投手とはストライクを投げ続けることで気持ちがのってくる生き物だ。
ストライクゾーンが変更になってもその性質は変わらない。
2ストライクまでは大方ストライクをとりたい。
無意識のうちにストライクゾーンに投げている。
変更後には「判定が少しからいな」と感じる程度だろう。

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捕手心理

捕手は審判の判定・クセを一番感じやすいポジションだ。
そのクセにより構えるコース・高さを変える捕手も少なくない。
むしろそれこそが捕手の腕の見せ所だ。
それゆえ順応能力が変更後はさらに求められてくる。

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見逃し三振を好む投手・捕手であれば打者の目から一番遠く
「見きった!ボールだ!」
と感じさせるアウトローでなく
「反応できなかった…」
このように手を出させないインズバ(インコースのストレート)を武器にシフトするだろう。

インズバは低いに越したことは無いが、アウトコースほど高さの影響を受けない。
よって配球の組み立てが変わってくる。

またプロ野球では少ないが、デッドボールと思わせストライクゾーンへ曲がる変化球も有効だ。
勝負方法が『高さ』から『幅』へ、『錯覚』から『反応』へ変わっていく。

日本とアメリカのストライクゾーンの違い

日本プロ野球で活躍しメジャーへ挑戦した田中将大投手、前田健太投手は両国のストライクゾーンについて
「内外は狭く、高低は広い」
口を揃えて同じことを言っている。

これにはもちろん理由がある。
チェック機能の違いだ。
詳しくは別の機会に書いていくが、アメリカでは投球判定を機械でチェックしている。
間違ってほしくないのは、機械が判定し審判がコールしている訳ではない。
試合後に球審が自分の投球判定結果を確認できるのだ。

機会と審判の投球判定一致率が90%以上だと優秀な審判と言われている。
審判も人間だ。
毎回一致率が低いとモチベーションが下がる。
一致率を上げるため、機械のストライクゾーンに近づけようと努力するのは当然だ。
このシステムによりストライクゾーンの均一化が図られ、野球規則通りのストライクゾーンに近づく。

それに比べ日本はというと、このシステムを採用していない。
結果、審判によりストライクゾーンが異なる。

また日本の審判界では

『ひざ上まで投球が入っていないとストライクをとれない』

『アウトコースはボール1個分広くとる』

『正確性より一貫性』

このような文化が根強く残っており、私も同じく指導され実践している。

チェック機能の影響で『高低広く、幅狭く』のアメリカ、文化を守り続け『高低狭く、幅広く』の日本。
このように異なるストライクゾーンが生まれてしまったのだ。

審判の対応

アメリカではチェック機能があるため、野球規則改正でストライクゾーンが変更されれば機械のシステムを更新し、新しいストライクゾーンでチェックが始まる。
これにより一致率が一時的に減るだろうが、それに順応する審判はストライクゾーンを引き上げ、また元通りの一致率に戻るのだ。
そして時間に個人差こそあるだろうが、3年もすれば全審判員が新ストライクゾーンに変わっている。
変化をしていくアメリカに対し、日本ではどうだろうか。

断言する。

日本でストライクゾーンが変わることはない。

それは何故か。
チェック機能がないため?
ストライクゾーンの文化が残っているため?
どちらも違う。

日本の野球では昔から低さに関して、2インチ(5cm)引き上げのストライクゾーンで判定されていたからだ。
日本人は新ストライクゾーンを昔から実践されていたのだ。

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おわりに

このルールが実際に導入されているか各方面に質問をしているのだが、2週間たった今でも返答が来ない。
実際に導入されているのか、はたまた選手会でストップしているのか。
わかり次第、このブログで情報発信していく。

野球のルールは常にアメリカで生まれ、日本をはじめ各国が後を追い続けている。
しかし2インチ引き上げについてはルールこそアメリカが動き出したが、日本では暗黙のルールで昔より実践され続けていた。
これは日本人の感覚・文化がいかに研ぎ澄まされていたかを物語る。

その誇りを胸に野球を、ベースボールを先導していきたい。

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