窓から入る太陽の日差し。
LEDや電球の光と比べ、どこか温もりがあり住人を元気にさせる。
採光を考え窓の配置に四苦八苦する設計士も少なくない。
明るい家にしようと窓を至るところに設置。
結果明るく気持ちいい。
ちょっと待ってほしい。
窓から入ってくるのは『光』だけだろうか?
光と同時に『熱』も入ってくることを忘れてはいけない。
南面の窓から入り込む熱量はコタツとほぼ同じ。
しかも1つの窓からコタツ1個分の熱が入り込むのだから、夏で考えると恐ろしい。
『熱量』と聞くとイメージしずらいだろうが『熱量=温かさ』と捉えてほしい。
夏と冬
冬であれば窓から入る熱は大歓迎。
家の中が温かく快適になるばかりか、エアコン・ストーブ・床暖房といった暖房器具の使用頻度が減り電気代を抑えることができる。
では夏はどうだろう。
コタツ1個分の熱が1つの窓から入る。
しかも太陽が出ている時間帯は常に入り続けるのだ。
コタツ1個分のカラクリ
熱量を表す単位を『W(ワット)』、1㎡あたり入り込む熱量を『W/㎡』という。
個の記事を読み進めるなかで大きなポイントになるので、頭の片隅に残してほしい。
【窓の条件】
- サイズ:3.3㎡の掃き出し窓
- U値:2.0W/㎡K
- 日射取得:60%
こちらの条件で計算を行うと1つの窓1㎡あたり196Wの熱量が家の中に入る。
冬は室内の熱が窓を通じて室外へ、夏は室外の熱が窓を通じて室内へ入ってくる。
夏:約200W/㎡取得
冬:約170W/㎡取得
この数値に窓の大きさを掛ければ、窓から入るおおよその熱量が計算できる。
テラスやバルコニーなど、南面に多用される掃き出し窓。
平均的な3.3㎡のもので計算しよう。
夏:200×3.3=660W
冬:170×3.3=561W
夏で660W、冬で561Wとなり、約600Wの熱が1つの掃き出し窓から入ってくる。
そして600Wの暖房器具こそがコタツなのだ。
おわりに
日本の住宅で南面に4つの掃き出し窓は決して少なくない。
そして南面に4つの掃き出し窓こそコタツ4個分にあたることが分かった。
夏に家の中が暑くなるのも納得できる。
猛暑日にもならば特に熱を逃がしたり、日射を遮る事が求められる。
換気扇やレンジフードといった換気システムを上手に使いこなせば、家の中の熱を排出することができる。
換気扇を使った熱を逃がす実験についてはコチラを読んでいただければ、その効率の良さに驚かれると思う。
ただ紹介した記事は『入り込んだ熱を逃がす方法』であり、最も重要なのは『家の中に熱を入れないこと』である。
ではどのようにして熱の進入を抑えるのか?
単純に窓のサイズを小さくすればいい。
掃き出し窓を半分のサイズの腰高窓にすれば半分の熱しか入らない。
でもそれでは人の出入りが出来なくなり利便性が下がるばかりか、冬場の日射取得量も減ってしまう。
安心してほしい。
窓サイズを変えずに熱の進入を抑える方法はもちろんある。
しかも10分の1の熱量、1つの掃き出し窓に60Wしか進入させない。
10分の1の方法についてはコチラの記事で詳しくまとめてある。