以前一条工務店を検討していたことから、今でも一条工務店の案内が我が家に届く。
ただその案内の中にとても面白い資料があったので紹介したい。
『Q値の違いによる冷暖房費の比較』と題された案内には、Q値別に電気代がシミュレーションされている。
1年・20年・50年で支払う冷暖房費用が比較され、その金額の大きさに驚きを隠せない。
有名どころの一条工務店と積水ハウスを比較すると、冷暖房費用だけで年間約10万円の差が生まれ50年で約500万円。
大きく冷暖房費用に直結するQ値を、数値別・ハウスメーカー別に比較していく。
Q値(熱損失係数:W/㎡K)
断熱性能を示すQ値。
室内の熱は窓・壁・床・屋根・換気により室外へ逃げていく。
逃げる熱が少ないほど断熱性能が高い。
室内外の温度差が1℃のとき、建物全体から1時間に逃げる床面積1㎡あたりの熱量。
⇒逃げる熱量÷床面積
Q値が少ないほど断熱性能が高いと言える。
主なハウスメーカーのQ値
1位 一条工務店:0.51
2位 スウェーデンハウス:1.14
3位 土谷ホーム:1.23
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9位 セキスイハイム:1.60以下
10位 積水ハウス:1.60
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15位 住友林業:1.92
16位 ダイワハウス:2.23
17位 ヘーベルハウス:2.7
17位 タマホーム:2.7
その他のハウスメーカーの順位は下記リンク参照。
ハウスメーカー20社Q値ランキング
2位のスウェーデンハウスと比較しても断熱性能の凄さが分かる。
ハウスメーカーの中では他社の追従を許さない。
まさに一社独走状態だ。
Q値の違いによる冷暖房費比較
Q値0.51の一条を基準に比較した表。
そもそも一条のQ値がずば抜けて良い事に驚きだが、冷暖房費にて比較していくと更にその凄さに気づく。
条件に注意
- 床面積:45.31坪
- 冷房期間:4/25~10/27
- 暖房期間:10/28~4/24
- 冷暖房費設定:全居室24時間運転
- 冷房設定:室温27℃・湿度50%・冷房能力COP3
- 暖房設定:室温22℃・暖房能力COP2
- 電気料金:中部電力スマートプラン(2016年5月料金単価)
- 計算ソフト:熱負荷ソフトSMASHによる試算
見て分かる通り一年間ずっと冷暖房をつけた計算かつ、45.31坪と大きな家で計算されている。
ただ全て同じ条件で計算されているため比較はできる。
有名ハウスメーカーと一条工務店の比較
先程紹介したQ値と冷暖房費用に、Q値の近いハウスメーカーを当てはめてみよう。
一条工務店
- Q値:0.51
- 1年:3.8万円
- 20年:76.0万円
- 50年:190.0万円
積水ハウス
セキスイハイム
- Q値:1.6
- 1年:14.3万円
- 20年:286.0万円
- 50年:715.0万円
住友林業
- Q値:1.92
- 1年:17.2万円
- 20年:344.0万円
- 50年:860.0万円
(冷暖房費はQ値1.90で表記)
ダイワハウス
- Q値:2.4
- 1年:22.1万円
- 20年:442.0万円
- 50年:1,105.0万円
(冷暖房費はQ値2.4で表記)
ヘーベルハウス
タマホーム
- Q値:2.7
- 1年:25.1万円
- 20年:502.0万円
- 50年:1,255.0万円
積水ハウスと一条工務店の冷暖房費用カラクリ
- 1年比較
14.3万-3.8万=10.5万円
- 50年比較
715万-190万=525万円
よって1年で10.5万円、50年で525万円の差が生まれるのだ。
ちなみに旭化成ヘーベルハウスやタマホームと比較すると…
- 1年比較
25.1万-3.8万=21.3万円
- 50年比較
1,255万-190万=1,065万円
1年で約21.3万円、50年で約1,065万円の差が生まれる。
一条工務店の年間冷暖房費用3.8万円を知ってしまうと、積水ハウスの10.5万円/年と旭化成ヘーベルハウス・タマホームの21.3万円/年が厳しく感じてしまう…
それが毎年積み重なり、生涯で500~1,000万円と開いてしまうのだから怖い。
おわりに
冷暖房費用を抑える省エネ住宅はQ値が全てとは言わない。
冬の日射取得・夏の日射遮蔽・熱交換率の高い冷暖房機器の採用・消費電力の少ない家電など、電気代に直結する要素はたくさん存在する。
ただこれらは家が建った後の工夫次第でコントロールしやすい。
ただ家の断熱性能であるQ値は、リフォーム以外でのコントロールは難しい。
またQ値が少ない家(高断熱の家)は電気代が安くなるだけでなく、外気の影響を受けにくいことから快適な家だ。
家を建てる際には間取りやデザインだけでなく、電気代や快適性にまで目を向けると後悔の無い家になるだろう。