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【住宅業界の裏側】早く壊れる家を建てリフォームで儲ける国とハウスメーカー

人口減少やマンション建築ラッシュから、バブル時代は年間200万戸も建てられた家も今では85万戸まで減少。
あと数年で50万戸まで減るとも言われている。
日本の住宅業界は先細り状態。
そんななか家を産業と捉える建築業者が増えてきた。

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劣化の早い材料、いつかは寿命の来る機械を多用し、数年後にはリフォームや買い換え。
住宅ローンの他に重くのし掛かる。
生活水準を大きく下げ資金繰り。
これでは『住宅奴隷』と言っても過言ではない。




健康・ゆとり

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家の最大の役目は人生を豊かにすること。
決して『絶対に建てなくてはならないもの』や『大人になった証』ではない。
家に大きな拘りが無いのであれば、無理してダブルワークや生活水準を下げる必要はない。

しかし家は金額面からも簡単に建てられるものではないことから、拘りが出るのは必然的か。
ただ判断を誤り、健康やゆとりを蔑ろにしないようにしたい。
ウエイトは大きいにしろ、あくまでも家は人生を豊かにするピースの1つなのだ。
『家を建てること』が人生の役目ではない。

建築業者選び

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家を産業と捉えず、住み手を本気で考え家を建てる建築業者を選びたい。
多少は自分でメンテナンスができたり、機械に頼りすぎなかったり、劣化スピードが遅い、もしくは経年美化で味が出る素材を使ったり…。

これらを根幹に家づくりをする建築業者は多くある。
もちろん全ての建築業者がそうでないのも事実。

大量生産ができ安価で、施工がしやすく工賃も安い代わりに劣化が早い工業化製品(新建材)。
工業化製品よりは物の価格も工賃も高いが、経年美化により住み手と共に成長する素材(自然のもの)。

どちらを多用するかは建築業者によって大きく分かれる。
ほとんどの建築業者は工業化製品を多用している。
住宅展示場で良く見るハウスメーカーはほとんどそう。
何を基準に家を建てるのか、慎重に判断しなければならない。

はじめはなるべくお金をかけず家を建てたいのか。
はじめはお金がかかってもメンテナンス費がかかりにくい家を建てるのか。

家は最低限住めれば良く、その他の生活にお金をかけたいのか。
質素な生活でもいいから、家は妥協なく満足いくものにしたいのか。

経年美化を楽しめる素材で家を建てるのか。
適材適所で工業化製品と素材を使い分けるのか。

いろいろな判断基準があり、自分の気に入ったスタイルにより選ぶ建築業者は大きく変わってくる。

構造体の劣化

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床の表面や壁紙の劣化・傷であれば生活出来ないことはない。
しかし雨風にさらされる外壁や屋根は別問題。
雨漏りから構造体に水が侵入し腐食が始まる。
最悪の場合、倒壊の恐れもあるのだからメンテナンスは欠かせない。

外壁では漆喰(しっくい)やガルバリウム鋼板、屋根では瓦やガルバリウム鋼板が優秀。
劣化スピードが緩かかであったり、住み手が多少のメンテナンスができるのだ。
これにより構造体の腐食を抑えたり、遅らせることができる。

同じ工業化製品でもガルバリウム鋼板のように劣化スピードが緩かなもの、サイディングのように早いものがある。
日本の住宅で最も多く使われているサイディングは材料費も工賃も安い反面、メンテナンスは小まめに必要。
高圧洗浄機による外壁洗浄、10~15年スパンでの再塗装は欠かせない。
好みのデザインに左右されやすい外壁だが、メンテナンスのことも頭の片隅に残したいところ。

サイディングは塗装によるコーキングが生命線。
これを怠るとすぐに水が構造体へ侵入してしまう。
また塗装に接着剤(アクリル)を含むものは劣化が著しく早く、リフォームの周期は短くなる。
構造体に関わり、後々交換が難しい部位はより慎重に選択するべきだ。

機械化住宅

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「床暖房は風が当たらずホコリも舞い上がらないので快適ですよ」

「全館空調装置は家全体を均一温度に保ち、ヒートショックのリスクが激減します」

「太陽光発電を乗せれば、月々の電気代がかなり下がりますよ」

とても魅力的じゃないか。
技術の進歩は素晴らしい。
流石ものづくり大国日本。
初めてこのような話を聞いたら感動し、舞い上がり、欲しくなるのは当たり前。

だがこれらは機械であり、10年を過ぎればガタが来はじめ、いずれ必ず寿命が来る。
またいずれも決して安くはなく、数百万円はするものばかり。

自分は良い家を建てたいのか、良い機械を導入したいのか…。
一旦立ち止まり、家の役割を今一度考える余裕を持ちたい。

リフォーム

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サイディングによる再塗装にしろ、機械の交換にしろ、日本の家はリフォームが発生しやすい環境にあることはご理解頂けただろう。
劣化や故障が目に見えればリフォームを考えるのは当たり前。
ただ見えない劣化は気づきにくいもの…。

家を建て10年もすると建築業者が点検に来てくれる。
よく言われる10年点検だ。
そこでこんなことを言われたらどうだろう?

「今にも雨漏り寸前です。今なら再塗装すれば間に合い100万円で済みます。しかし構造体に水が侵入し腐食が始まると大規模リフォームとなり、500~1,000万円は必要でしょう」

建築素人の住み手が住宅のプロである業者にこんなことを言われたら、リフォームをせざるをえない。
更に追い討ちをかけるように…

「この10年点検時に修繕していただけないとむこう10年(20年目まで)の保証は無くなります」

家を建て10年ということは、まだまだ住宅ローンが残っている。
大規模リフォームといった追い討ちは避けたい。
今なら大規模リフォームより安くリフォームができ、更には向こう10年の保証まで付いてくる。
なんだろう、お得感さえ抱いてしまう。

そう、リフォーム業界はとても営業がしやすいのだ。
住宅展示場で目にするハウスメーカーは特にこのような傾向が見受けられる。
もちろん全てのハウスメーカーではない。
これらを裏付ける面白いデータがあったので紹介したい。

住宅リフォーム売上ランキング

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(引用:住宅リフォーム売上ランキング2018)

このランキングを見て驚き。
大手ハウスメーカーが上位に数多く連なる。
また以前紹介した『坪単価が高いハウスメーカー9社』のうち8社がランクインしている。
(積水ハウス・大和ハウス工業・積水化学工業・住友林業・ミサワホーム・旭化成ホームズ・パナソニックホームズ・三井ホーム)

もちろん販売棟数が多ければ、その分リフォームの件数も増える。
保証延長の観点から他のリフォーム業者にお願いせず、家を建ててもらった建築業者にお願いする人が多いからだ。

しかし戸建て年間販売棟数2位の一条工務店はランクインしていない。
理由は2つ。

一条工務店の家はリフォームの必要性が低く耐久性が高い。
そもそも一条工務店は10年点検時に修繕勧誘が激しくない。
むしろ3割程度しか修繕し保証を延長しない。

一方、ランキングに名を連ねるハウスメーカーはリフォーム営業が盛んだと読み取れる。
中には新規のリフォーム客はほとんどなく、自社で建てたOB宅のリフォームが95%以上のハウスメーカーもある。

メンテナンス・交換サイクルの早い材料・機械を多用し、リフォームしないと住むことができない家を提供してると捉えられても仕方ない。
断熱大国ドイツでは住宅寿命が100年を越すのに対し、日本の住宅寿命は30年。

これは技術や文化の違いだけなのだろうか?

国策

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住宅や車は経済を回すのに持ってこいと言われている。
大きな金額が一気に動くのだから、景気回復の一端を担っている。
そのため国の政策としても減税・給付金・金利引き下げと、国民にどうにか高い買い物をしてもらおうと努力している。

住宅の給付金で言えば『長期優良住宅』や『ZEH(ゼッチ)』が有名。
初めて聞く方もいると思うので、まずは国土交通相のホームページを覗いてみよう。

長期優良住宅とは…

 従来の「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的として、長期にわたり住み続けられるための措置が講じられた優良な住宅(=長期優良住宅)を普及させるため、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成20年12月5日に成立し、平成21年6月4日に施行されました。

国土交通相HPより引用


ZEHとは…

 ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

国土交通相HPより引用


ちょっと難しいですよね?
ざっくり言えば…

長期優良住宅

長持ちする家を建てましょう。
建てた後も長持ちする体勢を整えましょう。
基準をクリアすれば補助金を出しますよ。

ZEH

断熱性能の高い家を建て、太陽光発電などで電気を発電し、消費電力の低い住宅機器(LEDなど)を使用して、自分の家で使う電気は自分でまかないましょう。
基準をクリアすれば補助金を出しますよ。


日本は長持ちする家を建て、省エネだけでなく自らの家で電気を作り、今後のエネルギー問題にまで取り組んでいる。
そしてその為に補助金を出して援助してくれる。
とても素晴らしい制度に感じますよね?

でもこの制度には裏があると言われている。

長期優良住宅で言えば住宅の点検を記録し、残しておくことが義務づけられている。
すなわち小まめに業者に点検をしてもらう必要があるのだ。

勘の良い方はお気づきかと思うが、業者の点検を受ければ簡単にリフォームに繋がる。

もちろん家を長持ちさせる為にリフォームは必要なこと。
しかしリフォーム業者も商売。
全ての業者が必要最小限の提案をするとは限らない。
必要のない箇所までリフォームをしたり、1社にしか頼まないと分かれば料金をかさ増しするケースが多いのだ。
ハウスメーカーでの10年点検時などでは良く見受けられるケース。

できるだけ複数社に点検してもらったり相見積もりをするなど、適正なリフォームなのか見極める必要がある。

ちなみに長期優良住宅の認定を受けた住宅は、役所から点検の記録の提出を求められれば断ることはできない。
断れば30万円以下の罰金まで科せられる。

このような事にならないよう、なるべく雨風にさらされる外壁・屋根は特に耐久性の高い物を選びたい。

次にZEH。
ZEHの大前提として、太陽光発電を乗せ自家発電すること。

太陽光発電を購入するには数百万円かかるが、建築業者が出すシミュレーションでは10年程で元が取れると言う。

しかし実際には「シミュレーションより安かった」との声が多いと言われており、消費者センターへの苦情で戦後一番多いのが太陽光発電に関して。

例え10年で元が取れたとしても、10年経つ太陽光発電は故障する可能性を秘めている。
運良く壊れなければ良いが、不具合が出れば修理が必要。
高額な太陽光発電を購入するときには補助金が出ても、修理の時には補助金は出ない。

今の住宅業界の仕組みとしては、壊れやすく高い物を買うときには補助金を出す。
そしてその高額なもの(家や太陽光発電)から逃れられないようにし、修理や買い換えで再度高い買い物をしてもらう。

これが現実。
経済を回し、景気を回復させるために補助金を出しているのだ。
ただ私たち一般消費者の耳にはいるのは都合の良い部分だけ。

物事の本質

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先程の話を聞いてしまうと、家を建てられなくなってしまう。
時には割りきりも必要なのか…。

いや、そんなことはない。

壊れにくい家を建てている建築業者はまだまだある。
機械に頼らなくても豊かに生活している人はたくさんいる。

しっかりと真実を知り、自分が納得できる建築業者を探してほしい。
また、住宅展示場にあるハウスメーカーだけや地元の工務店だけでなく、様々な建築業者の話を聞くと良いだろう。


おわりに

安い工業化製品や太陽光発電が無かった時代の家は豊かな生活を送ることができなかったのか?

もちろんそんなことはない。
自然を知り、素材を知り、知恵を振り絞り豊かな生活を送ってきた。

もちろん今の家の方が冬は温かく、夏は涼しいのかもしれないが、昔は電気を使わないか、本の少ししか使わず生活してきた。

そこにはたくさんのヒントが隠されている。
いや、答えと言っても良いのかも知れない。

今後、日本の住宅が良い方向に舵をきる日は訪れるのだろうか。

とても偏った内容だったのかもしれないが、何かひとつでも『家に住む』ことについて考えるきっかけになって頂ければ幸い。
そしてより良い住まいを模索する人が今以上に増えることが私の何よりの喜びです。

紹介

この記事を書くにあたり参考にした本です。
お医者さんと共に家づくりをする澤田升男さん。
本気で住み手を考え、ダメなことには『NO!!』を突き付ける方。
住宅業界の裏側を知ることができます。

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