心も体も暖かい家づくり

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大きい家より小さい家。快適性・省エネ性・住み心地が桁違いな理由

家に求める理想は人によりそれぞれ。

・駅や繁華街の近くといった立地
・子供が走り回れる広さ
・老後を見据えたバリアフリー
・年中快適な室温で体に優しい家
・電気代が安い省エネ住宅

住み手の要望により家の形態はさまざま。
一つと限らず複数の要望が重なりあう。

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これらは今だからこそ求められるものなのだろうか?
数十年前は生まれた地で育ち、小さな家に肩を寄せ合い生活することが当たり前だった。
しかし現代はより住みやすい地に、なるべく大きな家を求める傾向にある。
小さな家の魅力を知るためにも、少し時代を覗いてみよう。




時代背景

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【バブル時代以降】
大きい家が良い家とされ始めた

【阪神淡路大震災以降】
頑丈な家が強く求められ始めた

【東日本大震災以降】
省エネな家が強く求められ始めた

歴史の教科書に載るような時代の分岐点で、家に強く求められるものが大きく変わっていることが分かる。
ただ『良い家』というカテゴリーにおいて『小さな家』が多く語られることは無かった。


省エネ時代

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現代はまさに省エネ時代。
外壁をより厚く、家の隙間をより小さく、電気代の安い電化製品を、太陽光発電により電気の自給自足を…。
電気の大切さを震災から学び、国も国民もその必要性を痛感した。

ダブル断熱も珍しくなくなった昨今。
断熱性能をハウスメーカー選びの1つの物差しとしている人も少なくない。
時代の流れに乗るよう、トリプル断熱、クワトロ(四重)断熱を提供するハウスメーカーまで出てきた。

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また『高気密・高断熱』という言葉が乱用され始め、この言葉が標準化されているようにも感じる。
むしろ『高気密・高断熱』を謳わないと建築業界で生き残れない時代までなったと言えよう。

省エネ性に関心が集まるものの、根付いてしまった『広い家が良い家』という文化。
大きな家は電気代が高くなる。
しかし電気代の安い省エネな家が欲しい。
矛盾に近い2つの時代文化。

必要なのは広さじゃない

『家が広ければ良い家か?』
 →そんなことはない。

いくら広いリビングでも家具やモノが所狭しと置かれては、せっかく大空間を確保しても狭く感じてしまう。
散らかり具合だけ比較しても一目瞭然。

【散らかったリビング】
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(引用:散らかったリビングをリセット)

【整理整頓されたリビング】
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(引用:散らかったリビングをリセット)

一方、ソファもコーヒーテーブルも置かない空間は広くなくても子供たちは走り回り広く感じる。

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また窓も重要。
目の前が隣家の外壁であるか、開けた自然を眺めることができるのか。

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視線の抜け一つで部屋の広さの感覚は変わってくる。
そう、必要なのは『広さ』でなく『広く感じること』なのだ。
小さな家でも工夫次第で広く感じることができ、心落ち着く空間をつくり出せる。

小さな家は省エネ

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(引用:伊礼さんに学ぶ、i-works勉強会)

大きな家は小さな家より電気代が高くつく。
家を大きくすれば容積が増えるのだから、冷暖房するエネルギーが増えるのは必然的。

一方、小さな家は電気代が安くなるだけでなく、材料も少なく済むことから建築コストが下がり、家が建つまでに排出されるCO2の量も削減される。
大きなエアコンでなくても、小さな熱源1つで家中を温め、冷ますこともできる。
小さな家は特別な機械や性能に頼らずとも、自ずと省エネな暮らしができるのだ。

広く感じる工夫

広さを感じるためには、間取り図上で開けたスペースを確保するだけではダメ。
窓・扉・天井・家具・照明…。
さまざまな要素が複雑に絡み合う。

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開けた場所があるから人は集まり、暗い場所があるから明るい場所に目がいく。
また外部をいかに取り入れられるかも重要。
家の中だけで完結させた家づくりでなく、家の外、あるいは敷地外から景色を借りることができれば感じ方は大きく変わる。

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家の中はなるべく扉や壁で区切ることなく広く使い、外部の恵みを引き込み広さを感じたい。

モノを選ぶ

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ソファ・コーヒーテーブル・ダイニングテーブル…。
あなたの家にはすべて必要ですか?
昔の暮らしでは4畳半にちゃぶ台1つ。

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(引用:もう一度ちゃぶ台のある生活を始める。)

確かにその頃の家に比べると現代の家は大きくなり、豊かになったのかもしれない。
しかし家が大きくなったということは、モノを溜め込みやすくなったということ。

モノに囲まれた生活が続き、自分にとって何が本当に必要なのか分からなくなる。
このような生活から、不要なモノを捨てること、モノを大切にする心を忘れてしまった人も少なくない。

しかし近年、断捨離やミニマリストといった言葉が浸透し、日常的に使われ始めた。
モノを大切にする、不要なモノを持たないといった感性を持つ人が増えてきた証拠だろう。

ここでモノと真剣に向き合うお二方を紹介。

全てのモノを大切にし、愛着を抱き、役目を終えても再活用するmashleyさん。

不要なモノは極限まで家に置かない、私が知る限り日本一のミニマリスト、ミーさん。

このお二方、特に何か買うときの感性が素晴らしい。
また簡単にはモノを捨てない。
モノを大切にする心、選ぶ感性。
たくさんのことをお二人のブログから学んだ。

無駄を削ぎ落とす

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何も無駄を削ぎ落とすのはモノだけではない。
空間もその一つ。
自分たち家族には本当にこの空間が必要なのか、今一度考える必要がある。

和室・書斎・多すぎる収納・広すぎる部屋・多すぎる部屋…。
一時は心を満たしてくれる空間も時と共に使われなくなり、死に部屋となる。
また死に部屋は使用目的が無くなったことから収納部屋へと変化し、モノが捨てられない自分を加速させるのではないだろうか?

『あったら良いな』は基本無くて良いもの

小さな家は一つ一つの空間が大切な場所となる。

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家を小さくすることで浮いた建築費は、住み心地をより良くする費用に回すこともできる。

心も体も癒してくれる椅子。
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(引用:〈Web内覧会2019〉椅子が部屋を変える!ヴィンテージモダンなシアタールーム客間)

メンテナンスに長け、快適な空間にする壁や天井。
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温もりと優しさを与えてくれる照明。
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(引用:〈Web内覧会2019〉人も家具も植物も心地いい北欧ミッドセンチュリーなリビング)

何も広さや贅沢な機器を取り入れるだけが豊かな家ではないのだから。

小さな家が教えてくれたもの

小さな家に限ったことではないが、良い家を建てるにはいかに外部を取り入れられるかが重要

光・熱・音・匂い・風・コミュニケーション…。

良いものは全て外部からやって来ると言っても過言ではない。

光と熱の小休止の場、陽だまり。
心も体も暖めてくれる陽だまりのような場所を家中につくりたい。

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(引用:〈入居前Web内覧会〉開放感溢れる!北欧ミッドセンチュリーなリビングダイニング)

大きな家のようにスペースに余裕があれば人工的に快適な空間を創り出せる。
しかし小さな家はスペースが限られているため、心地良い空間を創り出すには外部からの恵みを招き入れることがより大切なことなのかもしれない。

小さな家に住むことで、その土地の魅力や自然の恵みを教えてもらえるだろう。


おわりに

小さな家で生活を送ると『住むチカラ』が増すと言われている。
漠然と生活するのでなく、一つ一つの行動や買い物に向き合い考える。
これらは決して辛いことではない。
むしろ楽しいことなのだ。

生活の一つ一つに楽しみを感じる。
そう、先ほど紹介したmashleyさんやミーさんのように。

好きな趣味をしている時だけでなく、日々の何の変哲もない生活が楽しみに変わったらどうだろう。
一度きりの人生、より良い人生となるに違いない。

『住むチカラ』であり『住む楽しみ』を堪能でにる小さな家。
広い家で居場所が限定され小さく暮らすより、小さい家に心地良い場所がたくさんあり広々と暮らす生活こそ人生最大の幸福だと信じてる。

紹介

私に家の可能性をひろげてくれた1冊の本。
『小さな家』といえば伊礼智さん。
家の在り方を、小さな家の魅力を、もっと知ることかできます。

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