注文住宅で夢が膨らむ一方、予算が追い付かないケースは多々ある。
ただそれは当然。
これから長い時間を過ごす家、夢は膨れて当たり前だ。
ただし『なぜ注文住宅を建てたいのか?』『何を実現したくて注文住宅を選んだのか?』ここをハッキリさせておく必要がある。
ただ単に『建売は嫌だ』『安く家を建てたい』というイメージだけで動くことは危険。
しっかりと『理想の家』を持ち、家づくりをスタートさせたい。
今記事では限られた予算で、できるだけ良い家にすべく『お金をかける優先順位』を部分別に6つ紹介。
優先順位が高い順に
- 主要構造
- 外壁・屋根
- 窓・断熱材
- 内装
- 外部空間
- 設備
それでは1つづつみていこう。
主要構造
まず最も予算を削ってはいけない所が、基礎や柱などの主要構造部分。
基本的なつくりの部分をしっかりしておかないと、家の安全性や耐久性を大きく損なう。
外壁・屋根
2番目に求められるのは外壁や屋根といった、雨風や紫外線にさらされる部分。
ここで予算を削ってしまうと、すぐに痛みが出てしまい、メンテナンス費用が高くなってしまう。
例えば屋根で安い素材(化粧ストレート)だと早ければ7~8年でメンテナンスの時期が来る。
ステンレス(ガルバリウム鋼板)や瓦だと20~30年のメンテナンス周期。
化粧スレート
ガルバリウム鋼板
瓦
外壁や屋根は、建てるときにきちんとお金をかけて損は無いところだ。
窓・断熱材
3番目は意外と忘れがちな窓と断熱材。
窓からは多くの熱が逃げるため断熱性に大きく影響する。
またガラス面だけでなくサッシも同様、多くの熱を逃がしてしまう。
住み始めてからの快適性を大きく左右する要素になるため、少なくとも窓は良く考えて選ぶべき。
内装
4番目に内装。
壁や床材だ。
特に直に触れる床材は慎重に。
足裏から伝わる熱は、体感温度まで左右する。
温もりある針葉樹(スギ・ヒノキなど)、傷に強い広葉樹(ナラ・サクラ・ウォルナットなど)といった無垢材。
合板フローリングやクッションフロアといった劣化する材料と異なり、無垢材は経年美化を楽しめる。
無垢床15選!イメージ写真・参考価格付き
壁も劣化が進むビニールクロス、調湿性が高い漆喰や珪藻土など様々。
安価な工業化製品(合板フローリング・クッションフロア・ビニールクロスなど)を選ぶか、自然素材(無垢床・漆喰など)を選ぶのか。
住み心地を考えればどちらが良いのかは一目瞭然だ。
ビニールクロス
漆喰(しっくい)
珪藻土(けいそうど)
外部空間
5番目が外部空間。
つまり外構や造園のこと。
例えば『駐車場に屋根を付けたい』『塀をつくりたい』といった事は後からでも加えられる。
ただし、家というのは内部空間や外部空間も合わせて成立する。
芝や駐車場といった外構にお金を割くのでなく、数千円~数万円だけで良いから庭に木を植えると良い。
日々の生活や住まいがグッと豊かになる。
枕木を設置したり芝を植えることは、住み始めて自らできる。
これだけでも数十万円は削ることができるのだから。
設備
そして最後が設備。
キッチンやお風呂などの設備は選ぶのが一番楽しいところ。
だから、ついつい上位ランクのものを選びたくなる。
その気持ちは良く分かるが、ここはグッと我慢。
設備は比較的容易に更新ができる。
エアコンや給湯器、浴室乾燥機など毎日稼働するものは荷電と同じで、10~15年で故障や機能が落ちるもの。
そのときはもっと高性能の新しいものが出ている。
柱なら良いものは一生もつが、設備は高いものを買っても必ず買い換えの時期が来る。
新築時に無理して奮発する必要はないのではないだろうか?
まとめ
良い家を建てる事が現時点での最大の目標!!
この軸だけは揺らいではならない。
お気づきの方も多いだろうが、後から手を加えるのが難しい箇所は優先順位が高め。
反対に後から付け足したり、取り替えができる箇所は優先順位が低くなっている。
大切なのは地味なとこばかり。
構造なんて、完成したらほとんど見えない。
でも、その見えないところが大切なのだということを忘れてはならない。
予算が少ないかからこそ
良い家というのは、そこに住まう人により大きく変わるもの。
長く田舎暮らしをしている老夫婦が銀座の高級マンションに住んでも落ち着かないように。
住まい手おのおのにベストな家が存在する。
『自分にとってベストな家とは?』
これを見つけることは極めて難しい。
下手したら住み始めてからでないと気づけないのではないのだろうか?
ただ注文住宅を建てるにあたり、予算が限られ、家の大きさであり設備を悩むことはとても大切なこと。
この取捨選択こそが家のメリハリを生み、ベストな家を導き出す方法。
個人的には、予算に余裕があり、何でもマイホームに組み込んだ家は良い家とは言えない。
不要なものが多く、家に愛着がわかないのではないだろうか。
『あったらいいな』は無くて良いもの。
一つ一つ丁寧に取捨選択を行い、必要最小限の中身の詰まった家。
無駄を削ぎ落とし大きさを抑えたり、設備を我慢することで生まれた予算で、家族にとっての拘りへとことん注ぎ込んだ家こそ本当に良い家なのである。
記憶は薄れるもの
家づくりに限ったことではないが、人の記憶はとても曖昧なもの。
キッチンやお風呂といった設備のグレードを落とす決断は辛いもの。
しかし住み始めて数ヶ月、数年もすると悩んでいたことすら忘れてしまうのがほとんど。
『騙されてください』とまでは言わない。
ただ資金面で悩んでいるのであれば、この優先順位を参考にしてほしい。
家を家族と共にゆっくりと成長させていく気持ちをもち、後から手を加えにくいもの、交換しにくいものから順に採用を決断していこう。