今回紹介する間取りは夫婦と子供2人、計4人の家族。
共働きで忙しく花粉症に悩む、ありきたりながらも少し凝った設定。
30坪の家で4人家族と聞くと少々手狭に感じるだろうが、決してそんなことはない。
一つ一つ丁寧に無駄を削ぎ落とし、必要な場所に必要な広さを設けることで物に溢れることなく、豊かな生活を送ることができるのだ。
- 間取り図
- 帰ったらまず手洗い・うがい
- 心地良い空間を整える
- ①子供が走り回れる回遊性
- ②日溜まりと風の通り道
- ③人目を気にしない
- 3つのポイントから
- 柔軟な子供部屋
- 回れるパントリー
- 小上がり畳コーナー
- 家を広く使う工夫
- おわりに
間取り図
【1階】
【2階】
【延べ床面積】
1階-15坪
2階-15坪
合計-30坪
帰ったらまず手洗い・うがい
家に帰ったらまずは汚れを落としたい。
玄関ホールに洗面台があれば、子供たちも自然と習慣を体が覚える。
玄関にはシューズクロークとコートをかけられる収納もあり、帰宅導線に優れた家となった。
心地良い空間を整える
広いリビングや部屋があれば、居心地の良い空間なのだろうか?
いや、そんなことはない。
人は暗かったり、寒かったり、暑いとその空間を自然と避けるもの。
反対に人を引き付ける空間も存在する。
この家で言えば、2階に上がってすぐのサンルーム。
元々は共働きで忙しく、花粉症に悩む夫婦を想定している。
オールシーズン時間を気にせず室内干しが出来る空間を設けた。
だがこのサンルーム、室内干しだけでなく家族が自然と集まる不思議な空間となった。
ポイントは3つ。
①子供が走り回れる回遊性
寝室の引き戸を2箇所とも開ければサンルーム・廊下・寝室が1つの開けた空間となる。
また中央にL字の壁が残ることにより、子供たちの遊びの創造力が活性化される。
子供は何もないと走り回らないが、壁があるとその回りを何故か走ってしまう。
またおもちゃを広げて遊ぶばかりか、 壁というアイテムを上手に使い、おままごとにしてもプラレールにしても遊びの幅を広げる。
②日溜まりと風の通り道
南面には大きな掃き出し窓。
北面には階段の踊り場に小さな小窓。
秋~春にかけて心地よい陽気に包まれ、春~夏にかけては風の通り道となる。
休日にはサンルームにラグでも敷いてお昼寝なんてのも悪くない。
③人目を気にしない
この家のサンルームは日当たりの良い2階に設けられた。
だがしかし、もし1階の道路沿いにあったらどうだろう。
家の中なのに人目が気になるだろう…。
造園や塀により上手に目隠しができれば良いが、敷地や予算の問題から必ずできるものではない。
サンルームが2階であれば、余程の密集地でない限りこの問題は解決できる。
3つのポイントから
一番居心地の良い場所は広いリビングとは限らない。
この家のように洗濯物を干すサンルームのような場合だってあるのだ。
もしかしたら小さな書斎だったり、ワークスペースのあるパントリー(食品庫)だったりする家庭もある。
柔軟な子供部屋
子供部屋が必要な期間は一般的に約10年。
短ければ中1~高3までの6年。
今後50年は住むであろう家に、子供部屋という近い将来、役割を持たなくなる部屋を設けることは賢い選択なのだろうか?
子供部屋に広さと予算をかけすぎたため、その他の空間を狭く、縮こまった生活を送ることになってしまうのではないのだろうか。
子供の成長に合わせて柔軟に対応できる家ならば、死に部屋(何も使われない部屋・使用目的がなくなり物置となった部屋)にならず、常に家全体を隅々まで活用することが出来る。
今回紹介した間取り図を見てみよう。
収納2つ込みで広々9畳の子供部屋。
子供が小さいうちは家族4人で川の字となり寝る。
子供部屋が必要になれば中央に壁を造る。
子供が巣立ち、その役割を終えた子供部屋は壁を取り外し、元の大空間に戻すこともできる。
この先、様々なシーンに柔軟に対応できる間取りは、家を広く使うことができるだけでなく、家の大きさを小さくし、建築費用を大幅に下げることができるのだ。、
回れるパントリー
共働きで買い物の時間すら惜しい家族は少なくない。
どれだけ小さくても良いから、買いだめのできるパントリーは取り入れたい。
この家にはキッチンからリビングへ通り抜けできるパントリーを設置。
収納力が増しただけでなく、LDKに行き止まりをつくらず、どこからでもアクセスできるのが大きな魅力。
小上がり畳コーナー
1人が寝るのであれば2畳、2人が寝るのであれば3畳もあれば十分。
この家は来客用に特別個室を設けるのではなく、日常的にお昼寝や遊び場として使いやすい3畳の畳コーナーを設けた。
小上がり下部は収納としても利用可能。
ただこの小上がりは収納以上に大きな役割がある。
それがソファーに座った人と畳コーナーに座る人の目線を揃えることだ。
目線が揃うことで心地よさが生まれる。
更に言えば畳コーナー・リビングソファー・ダイニングチェアーに座る人、キッチンで立つ人の目線が揃うよう計算されている。
家を広く使う工夫
30坪の家と聞くと『なんだか窮屈そう…』と感じてしまう。
しかしそれは大きな間違い。
家を広く使う仕掛けを所々しのばすことで、家全体を使い狭さを感じさせない。
今回紹介した柔軟な子供部屋であったり、目線を揃える小上がり畳コーナーもその例だ。
また部屋を細かく区切らなかったり、行き止まりを減らすこと、視線の抜けをつくることは有効だ。
もっと踏み込んだ内容はこちらに詳しく記されている。