2019年10月1日から消費税増税(8%→10%)に伴い、家を建てる人にとって大きな向かい風になりましたね。
3,000万円の住宅であれば消費税2%増加で60万円増、4,000万円の住宅であれば80万円の増。
4月1日以前に契約をするか以後に契約するかでここまで変わるんですもん、多少なりとも駆け込みが発生するのもいたしかたありません。
正直なところ我が家も悩みました。
でも実はしっかりとシミュレーションをすれば増税の前後で差額は少なくなるし、今のタイミングで家を建てれば多くの人は得をするんです。
我が家で言えば、消費税増税に伴う住宅ローン控除の拡充+すまい給付金で30万円も得する計算になりました(^^)
事前に住宅ローン控除でいくら戻ってくるのか、すまい給付金はいくら貰えるのかを知ることは大切なことです。
今記事で紹介すること。
- 住宅ローン控除とすまい給付金の仕組み
- 自分がいくら手元に戻るのか調べる方法
- 年収別のシミュレーション
- 拡充措置(控除が3年延びる措置)の注意点
- 増税前後でどちらがお得か
- 建売住宅vs注文住宅 どちらがお得か
これらを細か~く説明していきます。
結論から言えばほとんど人(低所得者)は増税後に得する制度なんです。
しかし損得以上に高所得者の方が優遇された制度でもあります。
いっけん矛盾にも感じますが、最後までお読みいただければしっかり理解できますのでご安心下さい。
- 今までの住宅ローン控除(減税)とは?
- 住宅ローン控除の計算方法
- 住宅ローン控除シミュレーション
- すまい給付金とは?
- 年収別シミュレーション
- 住宅ローン控除(減税)13年ルール
- 税抜き建物購入価格とは?
- 税抜き建物購入価格に外構や家具家電は含められる?
- 注文住宅vs建売住宅 拡充措置3年で多く控除できるのは?
- 消費税8%と10%どっちがお得?
- まとめ
今までの住宅ローン控除(減税)とは?
住宅ローン控除をざっくり説明すると、『国は大きなお金が動く家を沢山の人に建ててほしいから、補助金を出すんで建ててください~』的な政策です。
現行で住宅ローン残高の1%が戻ってきます。
1年目こそは確定申告が必要ですが、2年目~10年目は年末調整でサクッとできるんです。
もちろん住宅ローン控除を受けるには様々な条件があります。
- 住宅所得後6ヶ月目以内に入居し、引き続き居住していること
- 家屋の床面積(登記面積)が50㎡(15.125坪)以上であること
- 床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住の用に供されるものであること
- 控除を受ける年の所得金額が3,000万円以下であること
- 民間の金融機関や独立行政法人住宅金融支援機構などの住宅ローン等を利用していること
- 住宅ローン等の返済期間が10年以上で、分割して返済すること
…なんか分かるような、分からないような文言ですよね?
でも安心してください。
ほとんどの人は住宅ローンを組んで家を建てれば当てはまります(笑)
住宅ローン控除の計算方法
写真のような計算式になります。
でもまだ計算しなくて大丈夫ですよ。
年末残高なんて計算、住宅マニアの私でも電卓で弾こうなんて思えないくらい大変ですから(笑)
『こういう計算があるんだな~。控除の上限は40万円(長期優良住宅は50万円)なんだな~』
程度に流してください。
もっと詳しく知りたい方は下記のサイトへ。
住宅ローン控除(減税)の基本と計算方法
住宅ローン控除シミュレーション
今は便利な世の中になりまして、サクッと計算してくれるサイトがあるんです。
しかもあの有名な価格.comさん。
登録不要、無料でシミュレーションしてくれます。
今回はサンプルとして我が家の情報を入力します。
見栄を張って年収は10万円ちょっと多めに入力(^^)
キリが良い数字の方が参考になりますもんね(笑)
そうするとこのように、10年間の控除額・すまい給付金の給付額・負担軽減額が算出されます。
我が家の場合は合計311.1万円も軽減されるんですね。
すまい給付金とは?
すまい給付金をざっくり説明すると『住宅ローン控除は年収が高い人ほど多くもらえ仕組みで、それだと年収が低い人に不公平。すまい給付金は年収が低い人ほど手厚くし、なるべく差が出ないようにしよう』的な政策です。
消費税8%と10%では貰える額が変わりますし、貰える年収の幅も変わります。
消費税8%
消費税10%
年収や所得税、扶養の有無により給付金の額は増減します。
シミュレーションは先程と同じ、価格.comのページから調べることができます。
増税に伴い、給付される額が30万円→50万円に増えた点、給付される年収が510万円→775万円に広がった事が大きな違いです。
私も年収600万円ゾーンの人間なので、貰えなかったものが貰えるようになり、大助かりな政策でした(^^)
年収別シミュレーション
住宅ローン控除は年収が高い人ほど優遇されます。
『控除』はそもそも『払った税金が戻ってくる』ものです。
年収の低い人は支払う税金が少ないため、控除する権利を持っていても最大限に活用することができないのです。
先ほどは600万円で住宅ローン控除とすまい給付金を紹介しましたが、50万円刻みで年収400万円~700万円を見てみましょう。
住宅ローン控除の仕組みが理解できます。
年収400万円
最大控除額(年末残高:32.1万円)に満たないため控除の恩恵を受けきれていないが、すまい給付金は満額支給される。
年収450万円
年収が上がることで支払う税金も増え、控除の恩恵が年収400万円より多い。
年収500万円
一定年収(条件)を越したため、すまい給付金が減る。
年末残高は減るものの、10年経っても控除額以下しか税金を納めていないため控除額が一定。
年収550万円
7年目にしてようやく控除額が納税額を下回るが、控除の恩恵を最大限に活用しきれていない。
年収600万円
3年目と早い段階から恩恵を受け始める。
年収650万円と負担軽減額を比べてほしい。
年収650万円
住宅ローン控除は10年で2万円増えたが、すまい給付金が10万円減ったため負担軽減額が8万円減る。
年収700万円
すべてにおいて年収650万円と同額。
以降は年収が上がりすまい給付金が減る、もしくは無くなるのみ。
注意点
我が家は狙ったわけでもなく、たまたま家を建てるタイミングが年収・扶養・借入金・金利が住宅ローン控除・すまい給付金のツボにはまって最大の恩恵を受けることができます。
もうお分かりだと思うが、1つでも異なれば結果は大きく変わります。
自分の条件を入力し、少しずつ数値を変えて比べることで恩恵の大きさが変わるのです。
また年収は変わるものです。
その時々の納める税額も変わってきます。
このシミュレーションは年収も税額も一定で算出している点にご注意下さい。
繰り越し返済をすれば年末残高も変わるので、金利が1%未満かつその年の最大控除額の恩恵を受けることができるのであれば、住宅ローン控除による恩恵の観点から言えば10年は繰り越し返済をしない方が良いでしょう。
住宅ローン控除(減税)13年ルール
2019年4月1日以降に契約し、2020年12月31日までに住み始めれば、住宅ローン控除が10年から13年に引き伸ばされます。
これはすまい給付金と同じく、増税に伴う駆け込み需要を緩和するため。
住宅業界としても増税前にお客さんがたくさん来て、増税後にパタンと来なくなっては経営が厳しくなりますもんね。
ただし延長された3年間は住宅ローン控除の仕組みが変わります。
この3年間は『拡充措置』と言われ、増税分の2%を3年間(11~13年目)に分けて還元。
以下のいずれか小さい額が控除の対象となります。
- 年末ローン残高(上限4,000万円)×1%
- 税抜き建物購入価格(上限4,000万円)×2%÷3
拡充措置による3年間は繰り越し返済を積極的にしない限り、ほとんどの人が『税抜き建物購入価格×2%÷3』が適用されます。
私のケースを参考に比較してみます。
年末ローン残高×1%
※ 繰り越し返済はしていない計算
- 11年目→22.8万円
- 12年目→21.9万円
- 13年目→21.1万円
合計64.8万円
税抜き建物購入価格×2%÷3
※ 税抜き建物購入価格:2,300万円
- 11年目→15.3万円
- 12年目→15.3万円
- 13年目→15.3万円
計45.9万円
3年で20万円近く差が開きます。
繰り越し返済をしなければ『税抜き建物購入価格×2%÷3』の方が少ない額となり、拡充措置として控除の対象になります。
私のケースであれば11年目より前に繰り越し返済を、だいたい700万円以上してしまうと『年末ローン残高×1%』の方が少なくなります。
一方『税抜き建物購入価格×2%÷3』の額は工務店やハウスメーカーに支払った額(税抜き)が基準となるため、繰り越し返済をしても変動しません。
税抜き建物購入価格とは?
建て売りを購入した人はここで悩むところでしょう。
土地と建物をセットで購入し、トータル金額は聞いていても建物のみの価格は聞いていないケースが少なくありません。
しかし最近の建て売りは契約書に内訳で『土地代』と『建物代』が明記されていることがほとんどです。
もし書いていなくても、購入した建て売りの消費税を販売業者に確認できれば逆算できます。
『土地』に対して消費税はかかりませんが、『建物』には消費税がかかります。
よって10%の消費税に『×10』をすれば税抜きの建物代が算出できるのです。
税抜き建物購入価格に外構や家具家電は含められる?
低金利で住宅ローン控除という政策がある日本。
外構や家具家電を手持ちから支払わず、住宅ローンに組み込む人も少なくありません。
拡充措置判断基準の1つは『年末ローン残高』であり、もう1つは『税抜き建物購入価格』です。
住宅ローンにそれらを組み込んでいれば『年末ローン残高』には反映されます。
しかし『税抜き建物購入価格』に当てはまるかはケースにより異なるんです。
この『税抜き建物購入価格』はあくまでも家を建てたり、購入したり、仲介した業者1社のみを対象としています。
よって家を購入したA建築会社に支払うお金が、外構や家具家電を含めた金額であれば当てはまります。
しかしA建築会社が家を建て、B外構会社が外構をし、C家電屋からエアコンを購入し、D家具屋からダイニングテーブルを購入しても、支払いが別々であればA社の金額のみが対象となります。
例えばA建築会社がB外構会社・C家電屋・D家具屋から仕入れ、見積書にそれらを反映して施主へ請求すれば、拡充措置の『税抜き建物購入価格』に反映できます。
しかしA建築会社も売り上げに対して税金を納めなくてはならないため、その税金分は上乗せして施主に請求します。
拡充措置の3年で多くのバックは期待できますが、それ以上に支払い額が増えてしまうため、トータルでみると施主はマイナスになってしまいます。
注文住宅vs建売住宅 拡充措置3年で多く控除できるのは?
ここまでお読みいただければお気づきかと思いますが、拡充措置の3年では多くの方が『税抜き建物購入価格』を算出基礎とされるケースが多いです。
そして『税抜き建物購入価格』が高額なほど、控除額が高くなります。
一般的に建売住宅より、注文住宅の方が建物代は高いと言われているため、住宅購入価格が高い注文住宅の方が控除額が高くなります。
同じ3,000万円を支払うとしても、『土地代1,800万円・建物代1,200万円』よりも『土地代600万円・建物代2,400万円』の方が拡充措置にて控除できる額が増え、その差は倍にも広がります。
消費税8%と10%どっちがお得?
これは一概にどちらかと断定できません。
年収・金利・借入額などにより変わってきます。
ただ大半の方は10%の方がお得です。
それでは私のケースで比較していきましょう。
建物税抜き価格:2,300万円
消費税8%と10%の差は2%ですので、2,300万円の2%は46万円です。
【消費税8%】
2,300万×1.08=2,484万
【消費税10%】
2,300万×1.10%=2,530万
46万円以上差があれば、消費税10%のタイミングで家を建てた方がお得となります。
住宅ローンは土地代や諸費用を含めて消費税8%・10%の時、比較しやすいよう3,300万円で計算しています。
年収600万円(私のケース)
【消費税8%】
控除10年間合計→281.1万円
【消費税10%】
控除10年間合計→281.1万円
すまい給付金→30万円
拡充措置3年合計→45.9万円
合計→357万円
【差額】
75.9万円
比較結果
消費税が8%から10%に上がることで支払い額が46万円増えます。
しかしすまい給付金+拡充措置により75.9万円多く戻ってきます。
そう、消費税増税により約30万円お得になるんです(^^)!
30万円お得ということは『すまい給付金』分がそのままお得になる計算ですね。
住宅ローン控除の10年は同額で、消費税が2%上がった部分は拡充措置にて3年に渡り合計2%分が戻ります。
よってすまい給付金分がまるまるお得になるケースが多いです。
年収が低くすまい給付金を多く貰える人は特をし、年収が高くすまい給付金を貰えない人は旨味のない政策ということです。
まとめ
計算式だけ見るとややこしい住宅ローン控除と拡充措置。
しかしザックリ捉えれば『すまい給付金分だけ得をする制度』と至ってシンプルなものでした。
通常の住宅ローン控除10年は増税の前後で同額で、負担が増えた2%の消費税アップ分は拡充措置にて補填。
すまい給付金が丸々お得になるイメージです。
しかし同じ額を支払うとしても、土地・建物・諸経費の内訳や、1つの業者にまとめて支払うのか・複数の業者に別々で支払うのか、はたまた年収によって還元される金額はまるで違います。
年収400万円の人と700万円の人では、同じ家を建てても還元される金額が100万円近く変わってきます。
住宅ローン控除はそもそも高収入の人が特をしやすい制度なんですよね。
そしてその差を埋めるためにすまい給付金が生まれました。
増税の前後でお得になるのは低所得者だが、それ以上に高所得者は控除額で優遇されている制度。
ただ低所得者でも家の建築費用と住宅ローンを抑え控除を満額受け取れれば、高所得者よりお得になるケースも出てきます。
これはしっかりとシミュレーションしてみないと分からないですね。
皆さんもシミュレーションで、自分がどれぐらいお得になるか調べてみてください(^^)