青ガルバに白サッシが映えた素敵なお宅ですね。
こちらに住む予定だったあおさん家族。
引き渡し2週間前に問題が立て続けに発覚し、解体することが決まりました。
建築基準法違反で住めないといった訳ではありません。
施工会社の工務店があまりにも身勝手で不誠実な対応の連続、そして着工前からの約束を蔑ろにす事象が多発したための解体です。
最終的にはこの工務店との契約は解消。
お金もあおさんの元に戻ってきました。
工務店側から契約解消、お金が全額戻ってくることは極めて稀なケースです。
考えられない工務店の暴挙と、どのようにして戻ってきたのか、また記事後半では住宅トラブル回避方法を詳しく紹介です。
※今記事はあおさんからの了承を得て執筆しております。
・工務店の暴走
・手抜き職人の施工
・トラブル解決方法
・住宅トラブル回避方法
あお家の譲れない点
まずはあおさんの求める家についてです。
あおさんは勤勉家で下調べを入念に行い、下記の4点を夢に家づくり業者を選びました。
①高気密高断熱
②トリプルサッシ
③耐震等級3
④無垢のフローリング
特に①と③は頭の片隅に残しておいて下さい。
長期優良住宅を耐震等級3にて取得することが目標です。
工務店の身勝手な対応、これから紹介していく事実に開いた口が塞がらなくなるでしょう。
工務店の暴走
梁を削り耐震等級がとれない
天井高2,400mmの予定が、梁が太く予定の天井高は実現できません。
そこで社長の独断で梁を20mm(2cm)削られ、予定通りの2,400mmへ強引に調整。
現場を確認したところ8箇所の梁が削られていました。
ここで大きな問題です。
構造屋さんに確認をして見ると…。
「梁の大きさも含めて構造計算をしているので、梁を欠くと耐震等級3に満たない可能性がでてきます。ただ現場を確認してみないと何とも言えません。」
設計段階で天井高を確認せず施工後に発覚し、施主に確認無しで調整。
挙げ句の果てには約束していた耐震等級3がとれない可能性が出てきました。
社長の大嘘
長期優良住宅が通りその確認書類に目を通すと、確かにそこには耐震等級2の文字がありました。
梁を欠いた為に耐震等級3が取れなかったのでなく、そもそも耐震等級2で長期優良住宅の申請をしていたのです。
耐震等級3を希望していたことを社長に確認をすると驚きの返し。
うちの標準は耐震等級2です。
耐震等級3にする場合、うちでは請負契約書以外に、耐震等級3にするという契約書も書いてもらうんですけど。
引用→長期優良住宅の勘違い
『耐震等級3にするという契約書』の存在を初めて聞かされるあおさん。
また社長から「耐震等級3希望だなんて聞いた覚えがありません。証拠はあるんですか?」なんて言う始末です。
あおさんは過去のメールを確認するとそこには確かに『耐震等級3希望』の文字があり、社長も了承しています。
また営業の方に確認をすると…。
「そのような資料があるのは初耳です」
社長がその場逃れの大嘘をついていたことが発覚です。
そこじゃないよ!床下点検口
引用→点検口
なんの相談も無く開けられた点検口。
あおさんはここに家具を置く予定だったそうです。
なんのために注文住宅を選んだのか分からなくなってきますね。
そもそも点検口の位置は施工前に分かります。
施工中にフィーリングで開ける物ではありません。
幅を勝手に変える
引用→シューズインクローゼットの出入口の幅は、誰が決めるの?
あおさんが算出した家族に必要最小限のシューズインクローゼットの出入り口の幅は800mmです。
着工するにあたっての平面図には820mmと記載がありました。
しかし現場の幅をメジャーで計測してみると770mmと50mm(5cm)も狭められていました。
さっそく確認です。
「将来、シューズインクローゼットの中に扉を付けられるように、壁の奥行を取った」
施主を思っての気配りは美徳です。
しかし念入りに計画した幅を善意だけで相談無く変更するのはどうなんでしょう?
現にあおさんは将来、ここに扉を付ける予定はありません。
ここまでが社長の不可解な行動の数々。
次は施工する職人さんについてです。
手抜き職人
手で破かれた気密シート
引用→気密シートは手で破る?
ダクト回りの気密シートが杜撰(ずさん)にも手で破かれている事が確認できます。
しかも1箇所だけでなく複数箇所です。
テープなどで補修した跡もなく、これでは気密効果が十分に発揮されません。
玄関ドアの養生
引用→奮発した玄関ドア
奮発した木製玄関ドア。
木目のコントラストが素敵ですね!
でもこのドア、養生用の段ボールが張られていません。
すぐさま確認をすると…。
「すみません、養生用の段ボールを捨ててしまいました」
意味不明ですね。
間違って捨てたのなら百歩譲りましょう。
でも段ボールなら現場にたくさん余っているはずなのだから、取り寄せるまで代用できるはずですよね?
このドアを職人さんは何度も出入りし、機材の搬入も頻繁に行われます。
傷がつく可能性が高いですよね。
リスク管理が全くされていません。
計算違いのテレビ棚
上段と下段の奥行きが違います。
赤く囲われた箇所、白い金具が見えますよね?
金具の厚み分、下段の奥行きを削るのが本来。
しかし職人さんは金具の厚み分を下段に足してしまいました。
そのため上段より下段の方が1.5cm出っ張っています。
本棚の段差
引用→本棚の段差
左側が本棚、右側が吹き抜けの手摺です。
ピンクで囲われた箇所、数cmずれています。
小さなノイズかもしれません。
しかし本来揃っている箇所がズレていると感じると気分が少し下がってしまいますよね。
家づくりはディテール(細部)への気配り・心配りの連続です。
この家に気配り・心配りはあったのでしょうか?
疑問が残ります。
まだまだ続く不可解な行動
工務店の社長・職人達の暴走は上記で紹介しただけでは終わりません。
紹介したのはほんの一部です。
更にどの様なトラブルか深く知りたい方はあおさんのブログをお読みください。
契約解除
住宅会社選びの段階ではここまでのトラブルなど想像もしません。
しかしこの工務店に一度惚れた事は事実ですし、要望を投げ掛ける度に改善の約束をしてくださった社長の姿勢から、何とかこの工務店で家を完成させようとしました。
雑な職人から丁寧な施工をしてくれる職人へ交換もしてくれました。
しかし当初の約束であった耐震等級3にする為には構造計算の結果最悪の場合、欠損した梁の取り替えが必要です。
その為には基礎と1階の柱以外を解体するしか解決策はありません。
そこで工務店が出した答え。
「もう、直せません。契約を解除させてください。」
あおさんも思いもよらなかったようで頭が真っ白、パニックに陥ります。
インターネットで同じような事象を調べても『住宅会社からの契約解除』は極めて稀なケース。
改善策が見当たりません。
そこで着工前ではあるものの、住宅会社からの契約解除経験をブログで情報発信していた私に相談がありました。
私も自信のトラブル当時、あおさん同様通常の精神状態ではいられませんでした。
とは言ってもいずれ前に進まなくてはなりません。
住宅業界の知人に相談したり、ネットや書籍で徹底的に調べました。
しかし泣き寝入りの確率が極めて高いのが今の日本の住宅業界の現実です。
あおさんから相談を受けた私は改善策を1つも提案できない無力な存在でした。
お金を返せ!
結論から言えばあおさんご家族は周囲に相談をしながら、ご自身の力でこのトラブルを解決しました。
工務店側は弁護士にも相談していたのに、です。
しかし1つ1つ丁寧に問題を定義し、工務店側の良心に訴え続けることで時間はかかったものの無事解決まで運ぶことができたのです。
もちろんお金もです。
トラブル解決までの詳細は私が紹介するよりも、その時々のあおさんの率直な想いを読んで頂いた方が良いかと思います。
是非ともあおさんのブログにて、問題解決までの記事をお読みください。
解体開始
2019年4月初旬 契約書上の引渡し予定日
2019年6月中旬 延期後の引渡し予定日→欠陥が見つかり、さらなる引渡しの延期
2019年8月下旬 工務店から契約解除の申し入れ2019年9月中旬 解約合意書の取り交わし
9月下旬 解約金の入金あり
10月末 建物の解体終了予定
解体前の家を確認してみると衝撃的な光景が…。
引用→解体前の家で見た、衝撃的な物
断熱材が剥がされ下地材が見えていますね。
そこには無数の釘の先端。
室外側から釘が打ち付けられているのが分かります。
この施工については各社見解が割れる箇所。
しかしそれにしても断熱材に穴が開く点、そして断熱材に損傷を与える無数の釘を目の当たりにすると施主として不安になりますよね。
この工務店は他にも見えないところで雑な工事をしているのでは?
『バレなければOK』という風土が根付いているのでは?
過った施工と断定はできませんが、施主心理からしたら解体のため段階的に露呈される構造体から不信感が増すばかりです。
良心的な住宅会社を見つける3つの方法
以上のことからも、住宅会社は契約後に施工段階から見えないところで手抜きやコスト削減、帳尻あわせをしてきます。
もちろん全ての住宅会社とは言いません。
しかし膨大な金額であり長期間に及ぶ家づくりという特性上、見積もりや施工途中の全てを確認するのは困難です。
そこであおさんも活用した、第三者機関によるプロの目でのチェックはとても有効な手。
多少のお金(5万円~70万円/検査回数により異なります)はかかるもののその後の安心は保証されます。
施工途中からでも遅くはありません。
住宅会社に不安を感じた時点で考え始めましょう。
また家づくりはほとんどの方が初心者です。
家づくりのアドバイスを無料で専門的に行っている機関を通して住宅会社を選ぶというのも1つの手です。
例えば注文住宅相談センターは私も活用したプロによる専門機関。
このような機関を通して住宅会社を選べば、もし不安事があった際にいつでもプロによるアドバイスを無料で何度でも受けることができます。
注文住宅相談センターは間取り・見積もり・土地探しも平行して案内しています。
私が提案していただいた工務店とハウスメーカーの間取りはこちらです。
まずは信頼できるプロと電話にて家づくりの方向性を話し合えるのがポイントです。
やはりお互いの事を知らないと心を開けませんもんね。
30分前後の時間を要するので、あらかじめ希望時間を入力欄にて提示をすれば電話代を気にせず相談できます。
3つめのトラブル回避方法として、契約をする前に施主側から住宅会社へ『合意書』を提案しサインを貰うのも有効手段です。
合意書を自分達で用意をする煩わしさはありますが、予め家族の希望を文書で約束ができるのが大きな安心材料。
合意書の用意が難しい方は『誰も教えてくれない マイホーム建築の罠』の合意書を活用するのも良いでしょう。
著 者:佐々木孝
発売日:2015/12/17
ー内容紹介ー
様々ある家づくり書籍の中でも特に建築業界の裏側を暴露した本です。
建築トラブルが発生するカラクリから、建築会社が施主を騙す第一歩である概算見積書の注意点などが詳細に書かれています。
本の中で紹介されている『合意書』は建築会社に主導権を渡さず、施主が安心して家づくりができる契約書のようなもの。
こちらにサインしてもらえる建築会社であれば安心して家を頼めます。
引用→ 【家づくりに役立つ本2019年版】売れ筋5選+オススメ5選
①第三者機関のチェック
②専門機関を介す
③『合意書』の活用
おわりに
同じ悩みを持つ方の道しるべとなるよう、また同じトラブルがなくなるようあおさんはブログを日々更新しています。
応援の意を込め、お読みいただけると幸いです。
補足として、紹介してきたトラブルはあおさん宅1軒で全て起きた事象です。
これが自分の家で起きていたとしたら…考えただけでも恐ろしいですね。
記事中ではあまり触れませんでしたが、こちらの社長さんは改善策を全く模索しなかった訳ではありません。
ただ模索した結果、最後の最後に事なかれ主義の選択をしてしまう癖があります。
あおさんのブログをお読みいただければ分かりますが、経験豊富な社長さんで今まで『これでなんとかなってきた』という経験から思考が固まり、その場逃れの言い訳で運良く今日まで家づくりを続けてこれたことが読み取れます。
最初から施主を騙そうとしていた訳でなく、善意が裏目に出たり、前例にとらわれ確認会話をしなかった事が全て悪い方向に繋がってしまいました。
現在もあおさんは解体作業に新しい業者選びに奔走中です。
どうかご家族が幸せになれる家と、素敵なパートナーに巡り会えることを心より願っております。