お願いする住宅会社を設計事務所に決め打ち合わせを進めること数ヶ月。
2019年6月、家族に合った家を提案して頂きました。
そこで建築士さんが我が家に合った家の名前を付けてくださいました。
建築士さんからのプレゼントであり我が家の道しるべ。
我が家の名前は”ユニバリュズム”です。
『ほへ?』
初めて聞く言葉に戸惑う私たち夫婦。
それもそのはず、ユニバリュズムは建築士さんが創った造語。
建築士さんが我が家の心地よさを模索した答えがこれ。
そんなユニバリズムの生い立ちを紹介です。
家に求めるもの
家族により家へ求めるものは様々。
ただ我が家はそれが多く、何が一番必要なのか分からず迷走し建築士さんへ相談したのを覚えています。
そこで建築士さんが出してくれた答えの一つが今の家。
特別なものはいらない。ありきたりで普通。
今までハウスメーカーや工務店など、たくさんの住宅会社にプランニングしてもらいました。
でも即決、一発OKをできたのはこの建築士さんだけです。
これには夫婦揃って驚き。
『シンプルな家なのにね~。でもこれが良いんだよね』
ホント笑っちゃうぐらい。
ユニバリュズムの由来
ユニバリュズムは3つの言葉から創られた造語です。
それが”ユニバーサル” ”バリュー” ”イズム”の3つ。
どれも聞いたことのある英語。
でも英語が大の苦手な高卒夫婦の私たち。
3つの英語を言われても全く理解できません。
そこで建築士さんがユニバリュズムに込めた思いを説明してくださいました。
・ユニバーサル(普遍的な)
・バリュー(価値)
・イズム(流儀)
→普遍的価値に流儀を見出す
う~ん・・・。
とても良いことを言っているとは思うんですが、学の無い私たちにはまだピンときません。
「深く考えないでください」
眉をひそめる私に建築士さんが優しく言ってくれました。
「決して自己主張するわけじゃないんです。ただ、とーいちさんご家族らしさが滲み出るような家、普通な様で普通でない家、何十年先も『この家で良かった』と思える家を設計させていただきました。」
あぁ・・・。
ここだったんだな・・・。
私がずっとモヤモヤしていたのは・・・。
なんでしょう。
全てを一瞬に理解できた訳ではありません。
でもなぜか、一気に肩の荷が降りました。
我が家の道しるべを諭してくれた建築士さんには感謝しかありません。
ユニバリュズム、家だけでなく人生の羅針盤。
自分なりに噛み砕く
『価値』は分かるとして『流儀』は耳にするも日常会話で使わなければ、ぼんやりとしかイメージできていません。
はたまた『普遍的な』なんて使ったことが無ければ、こんな難しいワードを会話で使う人は私の周りには誰一人いない。
そう、意味を理解していないのです。
そこで辞書を引き、自分なりに解釈してみました。
ユニバリュズム=
いつの時代も誰からも良いとされるものが、私たちの夫婦の価値観
勝手な解釈かもしれませんが我が家は間取りだけでなく空間や外観も含め、皆が心地いいと感じる家になのかな。
なんて願っています。
それが”今”だけでなく、何十年先の”未来”でも万人からそう感じてもらえる”日本の家”に住めたら幸せだな。
そして建築士さんはそれを我が家で実現してくれるそうです。
『いつの時代も"良い"とされるもの』
では一体、変わらず良いものとは何なのでしょう。
我が家で言えばここ。
・"経年劣化"する新建材でなく、"経年美化"する素材
(例:サイディングでなく杉の外壁・ビニールクロスでなく漆喰)
・家族と共に目的の変わる部屋
(例:子供の遊び場を間仕切り子供部屋)
・シンプルな家の形
(総二階→外観が整い耐震性能も高い)
・室内外のコミュニケーション
(室外の恵みを遮断する所と招き入れる所のメリハリ)
・小さな家
(家族を近くに感じ、本当に必要なものだけで生活)
これらが我が家が出した"いつの時代も誰からもよいとされるもの"です。
ただ、時代の流れは多少違うかもしれません。
・デザイン重視の不規則な凹凸外観
・施工品質を保ちやすい新建材
・窓を開けない方が快適な家
・機械に頼った家
・数値的性能絶対主義
これらが全てではありませんが、いずれも50年前ではどれも考えられていなかった家の在り方ばかり。
間違いなく現代の家の在り方は50年後には大きく変わっているでしょう。
ただ、50年前から変わらず良いとされる価値観も日本人の潜在意識に残っています。
それが『自然素材との触れ合い』であったり『町と調和する家』です。
これは恐らく50年後も変わらないもの。
過去・現在・未来、いつの時代も誰からも"良い"とされる価値観。
これ以上何を望むのでしょうか。
おわりに
家に住む家族の願いであったり建築士さんの建築意図を明確にすることで、その家に住む幸福度は大きく変わると感じます。
例え同じ家に住んだとしても、です。
よく雑誌で紹介される家には"作品名"が付いていることがあります。
"作品名"と言われると『家=芸術品』と捉えられがちですが、一概にそうとは言えません。
(一部、賞を狙ったり自信のエゴを押し通す建築士さんもいるようです)
"作品名"であり"家の名前"は、その家に住む家族の道しるべであり、建築士さんがその家族のためを思い考え抜いた1つの最適解。
家の名前、それはなにより、住み手の心を豊かにしてくれる不思議なピースになのかもしれません。