どこのハウスメーカー・工務店・建築事務所で家を建てるべきか悩んでいる人は多いだろう。
性能・価格・健康・電気代・メンテナンス費・アフターサービスなど各社独自の色をもち、何が正解なのか分からない。
私もそれらに悩む1人である。
この記事では私が経験したことを元に、本当に良い家・良い建築業者を見定めるコツを記していく。
同じ境遇で悩む人たちの『考えを整理できる場』になれば幸いだ。
名指しで『◯◯工務店はダメ』『◯◯ハウスメーカーは良い』といった答えを出す記事では無い。
あくまでも考えを整理する場として読んでいただきたい。
自分の家庭を振り替える
小さすぎる家では物があふれ、1人1人の居場所がなくなる。
大きすぎる家では死に部屋(ほとんど使われない部屋)をつくってしまったり、電気代・メンテナンス費が重くのし掛かる。
『ちょうどいいサイズの家』を見つけ出すことが最も大切であり、それは各家庭により異なるもの。
自らの家庭によるちょうどいいサイズの家を見つけ出すためには、今までの生活を振り替える必要がある。
もっとたくさんあるが、ここでは4つに絞って見ていこう。
その際の注意事項も細かく見ていく。
- 家族の人数
- 食事スタイル
- 育児方針
- 家での過ごし方
これら5つの要素だけでも、各家庭毎に家の大きさ・形・部屋の数が変わってくる。
自らの家族に合ったイメージを固めることが、ちょうどいいサイズの家の近道だ。
そしてそのちょうどいいサイズの家こそが、自分たち家族にとって最も良い家である。
それでは4つの要素を深く掘り下げていこう。
家族の人数
単世帯・二世帯・子供の人数によりLDKの広さ、寝室の数は大きく変わってくる。
食事をとる際に必要なスペースや、家族が団らんをするエリアも考えなくてはならない。
ただし住む人数はずっと同じではない。
大学や就職を機会に家を出ることもある。
また子供を授かり増えることもあるだろう。
単世帯家族であれば、子供が家を出るまで100点の家は危険だ。
必要性の無くなった部屋は死に部屋となりやすく、その後の使用方法が見つからない事が多い。
子供が居る間は80点でも、長い目で見れば90点の家という考え方もある。
考え方次第で子供が居ても家を出ても100点の家を造ることができる。
リフォームや可動間仕切り、子供部屋の在り方を考えてみよう。
今だけにとらわれず、先を見据えた家づくりこそが大切だ。
食事スタイル
今まで家でどの様に食事をしていただろうか?
椅子に座ってダイニングテーブル?
床に座ってこたつやリビングテーブル?
マイホームを建てたからといってリビング・ダイニングを無理につくる必要はない。
食事スタイルを無理に変えることは、後悔を生む可能性を多いに秘めている。
では失敗例を見ていこう。
今まではテレビを見ながら床に座りこたつで食事。
新築ではダイニングは食事、リビングはくつろぐ場として分けた。
しかしテレビの配置を考えず、ダイニングからはテレビが見えない。
テレビの位置も変更できずリビングで食事。
ダイニングが死に部屋となってしまった。
もちろんダイニングからテレビが見えるよう工夫したり、ダイニングは設けずリビングで食事をするような間取りを予めつくることで対応できる。
食事スタイルを意識せずに家づくりをしてしまうと、このような後悔が生まれやすいのだ。
であれば新築で食事スタイルを変更するのでなく、今まで通りの自分達に合った食事スタイルを続けるという選択肢もあるだろう。
リビング・ダイニングは家族が最も集まりやすい場所。
食事だけでなく、団らん・趣味・家事・休日の過ごし方なども含めて一番快適な場所にしたい。
育児方針
育児方針と言うと大袈裟かもしれないが、ここでは子供部屋の在り方について考えていこう。
中学生頃から必要になる子供部屋。
考え方1つで家の方向性が大きく変わる。
2つのパターン『居心地抜群6畳の子供部屋』『寝ることが目的3畳の子供部屋』と、両極端な子供部屋を見てみよう。
6畳の子供部屋
6畳もの広さがあればベッド・勉強机・テレビを置いても余裕がある。
配置次第では小さなソファも置けるだろう。
とても快適な空間となり友達も呼びやすい。
良いことばかりに感じるがもちろん欠点もある。
自分の部屋が快適すぎるがゆえ、部屋から出てこない可能性を秘めており、親と顔を合わせるのは食事の時だけ。
次第に親子の会話も減ってくる。
そんな未来も想像できる。
3畳の子供部屋
ベッドと勉強机しか置けない狭さ。
友達を部屋に呼ぶにも抵抗がある。
狭い方が落ち着く場合もあるが、快適性は6畳に劣るだろう。
ただ快適でないがゆえ、子供部屋にこもる可能性も低いと言える。
勉強をするときもテレビを見るときもリビングやファミリースペース。
常に親子が一緒に居れる家づくり。
2パターンを比較してみて
プライバシーを確保したり、子供に自分の空間を特に与えたいのであれば大きな子供部屋を与えるのもよし。
また家族で居る時間を増やしたいのであれば、子供部屋にこもらせない小さな子供部屋にするのもよし。
今後子供とどの様に接していきたいのか、子供部屋の大きさから育児方針を考えることも必要だ。
建築資金や家の大きさに制限があるのであれば、子供部屋を大きくする変わりに夫婦がくつろぐリビングは狭くする。
子供部屋を狭くしリビングを広くすることで各々の居場所を確保する。
考え方1つで家の方向性が変わってくるのだ。
もっと深く考えれば、子供が同性であれば相部屋、別姓なら別部屋という選択肢も出てくる。
家での過ごし方
- 休日は家に居ることが多いのか
- 家族が家で一緒に居る時間が長いのか
- 各々が自分の趣味を一人でするのか
- 家にいる時間は誰がどのくらいか
このような事をイメージしていくだけで、家の考え方が少しずつ固まる。
仕事でほとんど家に居ないパパ中心で考えた家でいいのか?
共働きで料理をする時間を確保できない家庭なのにキッチンを充実させる必要性があるのか?
長続きするか分からない最近始めた趣味の為に趣味部屋をつくるのか?
まず優先すべき事は自分たち家族の生活だ。
とりあえず横になってゴロゴロするのが好きなのであれば、畳スペースを取り入れる。
読書好きであれば静かになれる場所を作り本棚を設置。
家庭菜園や野菜を貰う事の多い家では土間は欲しい。
共働きなため食料は週末にまとめ買いをするのであればパントリーや大容量冷蔵庫を置こう。
今までの自分たちの生活こそが、より良い家をつくる最大のヒントなのだ。
ちょうどいいサイズの家
『ちょうどいいサイズの家』は各家庭により異なる事が、なんとなくでも分かってもらえたら嬉しい。
建築業者を選ぶ際には、そのちょうどいいサイズの家を上手く実現してくれる所を選びたいところ。
坪単価や性能で気になるハウスメーカーや工務店もあるだろう。
ただそこだけで選んでしまっては後悔する。
自分達に合った家を実現できる業者を選ぶことが大切だ。
家を買うのは素人のみ
何度も家を買う人は多くない。
マイホームを買う人はほとんどが初心者だろう。
そんな初心者がここまで想像を膨らませるのは正直厳しいと思う。
家を建てることに対して、経験値が少なすぎるからだ。
しかしハウスメーカーや工務店の営業マン・設計士たちは何度もお客さんを相手に家を建てている。
建てた後の生活も聞くことができる。
お客さんの欲求を形にする仕事をしているプロだ。
ただし私が見てきたハウスメーカーや工務店は『お客さんに合った家を建てたい』というより『お客さんが望んだ家を建てる』というイメージが強い。
こんな質問をされたことは無いだろうか?
「LDK(リビング・ダイニング・キッチン)は何畳ほしいですか?」
これはあくまでお客さんが望むものであり、お客さんに合ったLDKを導き出そうとしていない。
『お客さんが欲しいもの=良い家』となり『お客さんに合うもの=良い家』では無くなってる。
売れる家にばっかり目が行き、良い家に目が行かない。
そんなイメージを持ち始めた。
本当に良い家を提供したいのであれば、お客さんの生活から世間話まで何度も聞いて、そのお客さんに合う家をつくって欲しい。
極論までいけば、そのお客さんにしか合わない家をつくって欲しい。
信頼できる建築業者とは?
1度のプランニングでお客さんに合う家の間取り図を書くだなんて不可能。
ただしプランニングの姿勢を見ることで、信頼できる業者か判断することはできる。
LDK・和室・寝室などの希望の大きさよりも、その家族の生活であり、家を建てる土地を詳しく聞こうとする業者は本気でお客さんに合う家を模索している。
今まで培ってきた経験・感性を元に、プロだからこそ表現できる良い家を提供する姿勢。
これを感じれる営業マンや設計士に出会えたら最高だ。
ただ私の経験からは、そのような営業マン・設計士にはまず出会えない。
というよりも、1度のセッションでは判断でしにくいと言った方が正しいだろう。
1度目のセッションから、生活を聞いてきたり『◯◯さんの家族にしか合わない家を建てます』なんて言える営業マンが居たら感動だ。
おわりに
冒頭でお伝えした通り名指しでオススメの建築業者を紹介することはできない。
ただし自分達の家に合った建築業者を見つけ出すコツを何となくでも掴んでもらえたら幸いだ。
私もこのことに気づけたのはつい最近。
1年半、様々なハウスメーカー・工務店・建築士の元へ足を運んだがなかなか気づけなかった。
ただこのブログにアドバイスを下さる方々のお陰で気づくことができた。
心から感謝です。
ブログを続けていて一番良かったことは、文字にすることで自分の考えを整理できること、そして様々な方からアドバイスを頂けること。
本当にブログを始めて良かったです。