大手ハウスメーカー9社の過去9年分の坪単価上昇データをまるわかり注文住宅が発表。
データは2009年~2017年の9年間。
どのハウスメーカーも毎年値上げを実施していることに驚き。
まるわかり注文住宅のデータから、現時点で一番高額なハウスメーカーを導きだし、各ハウスメーカーの値上げ額・値上げ率をまとめた。
今記事では2009年坪単価・2017年坪単価・9年間の値上げ額・1年辺りの値上げ額・9年間の値上げ率の5部門をランキングにし、そこから見えてくる各ハウスメーカーの動きを調べた。
- 注意点
- 1位:住友林業
- 2位:三井ホーム
- 3位:ヘーベルハウス
- 4位:積水ハウス
- 5位:大和ハウス工業
- 6位:パナソニックホームズ
- 7位:セキスイハイム
- 8位:ミサワホーム
- 9位:ヤマダホームズ
- 【2009年】坪単価ランキング
- 【2017年】坪単価ランキング
- 9年間の坪単価値上げ額ランキング
- 1年辺りの値上げ額ランキング
- 9年間の値上げ率ランキング
- 5つのランキングから見えてくるもの
- 値上げの裏側
- おわりに
注意点
このデータはまるわかり注文住宅の独自調査によるもの。
坪単価は『総額』に対するものであり、『本体価格』によるものではない。
よって様々な諸経費が含まれており、広告・ホームページに記載されている『坪単価』とは異なる。
施主が支払う総額から算出し数値化したものであり、より現実的な坪単価といえる。
しかしこの総額には地盤改良やオプションといった、変動幅のある個別要素も含まれている。
今回紹介する表には『年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)』の順で記載されている。
平均単価(総額)・平均坪単価に関してはあくまでも目安と捉えてほしい。
また平均床面積(坪)も時代の背景、抽出したデータにより誤差がある点から目安と捉えてほしい。
なお、ご自身の計画床面積が表の平均床面積よりも大きくなれば坪単価は低減し、小さくなるほど増大する点にご注意いただきたい。
まずは9社の坪単価を2017年時点で高い順に紹介。
細かなデータも記載してあるが、下部にランキング形式にて紹介してあるため、この紹介は流し読みで大丈夫。
むしろ飛ばして『【2009年】坪単価ランキング』からお読みください。
では、金額の高い順に紹介していく。
1位:住友林業
引用:住友林業
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
74.5万円
【2017年坪単価】
97.9万円
【9年間の値上げ額】
23.4万円
【1年辺りの値上げ額】
2.6万円
【9年間の値上げ率】
31.4%
2位:三井ホーム
引用:三井ホーム
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
82.3万円
【2017年坪単価】
97.2万円
【9年間の値上げ額】
14.9万円
【1年辺りの値上げ額】
1.6万円
【9年間の値上げ率】
18.1%
3位:ヘーベルハウス
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
81.4万円
【2017年坪単価】
94.9万円
【9年間の値上げ額】
13.5万円
【1年辺りの値上げ額】
1.5万円
【9年間の値上げ率】
16.4%
4位:積水ハウス
引用:積水ハウス
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
74.2万円
【2017年坪単価】
91.3万円
【9年間の値上げ額】
17.1万円
【1年辺りの値上げ額】
1.9万円
【9年間の値上げ率】
23.0%
5位:大和ハウス工業
引用:大和ハウス工業
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
70.0万円
【2017年坪単価】
88.5万円
【9年間の値上げ額】
18.5万円
【1年辺りの値上げ額】
2.0万円
【9年間の値上げ率】
26.4%
6位:パナソニックホームズ
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
69.9万円
【2017年坪単価】
86.9万円
【9年間の値上げ額】
17.0万円
【1年辺りの値上げ額】
1.8万円
【9年間の値上げ率】
24.3%
7位:セキスイハイム
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
75.9万円
【2017年坪単価】
83.7万円
【9年間の値上げ額】
7.8万円
【1年辺りの値上げ額】
0.8万円
【9年間の値上げ率】
10.2%
8位:ミサワホーム
引用:ミサワホーム
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
67.2万円
【2017年坪単価】
75.4万円
【9年間の値上げ額】
8.2万円
【1年辺りの値上げ額】
0.9万円
【9年間の値上げ率】
12.2%
9位:ヤマダホームズ
年度/平均単価(万円)/平均床面積(坪)/平均坪単価(万円)
【2009年坪単価】
62.7万円
【2017年坪単価】
72.4万円
【9年間の値上げ額】
9.7万円
【1年辺りの値上げ額】
1.0万円
【9年間の値上げ率】
11.5%
【2009年】坪単価ランキング
- 三井ホーム (82.3)
- ヘーベルハウス (81.4)
- セキスイハイム (75.9)
- 住友林業 (74.5)
- 積水ハウス (74.2)
- 大和ハウス工業 (70.0)
- パナソニックホームズ (69.9)
- ミサワホーム (67.2)
- ヤマダホームズ (62.7)
(単位:万円)
2009年時点では社名が異なる建築業者もあるが、分かりやすいよう現在の社名・敬称にて紹介。
三井ホーム・ヘーベルハウスが僅差で1位と2位。
80万円越えの坪単価となった。
差が開きセキスイハイム・住友林業・積水ハウスが75万円前後で後を追う。
1位三井ホームと9位ヤマダホームズの差は約20万円。
さてここから9年、どのように順位が変動したのか。
【2017年】坪単価ランキング
- 住友林業 (97.9)
- 三井ホーム (97.2)
- ヘーベルハウス (94.9)
- 積水ハウス (91.3)
- 大和ハウス工業 (88.5)
- パナソニックホームズ (86.9)
- セキスイハイム (83.7)
- ミサワホーム (75.4)
- ヤマダホームズ (72.4)
(単位:万円)
4位だった住友林業が僅差で三井ホームから逃げ切り1位で大躍進。
三井ホーム・ヘーベルハウスは変わらずトップ3に名を連ねる。
大きく順位が変動したのはセキスイハイム。
3位→7位と大きく順位を落とした。
いや、順位を落としたという表現は間違っているのかもしれない。
時代の流れに逆行し、なるべく坪単価を上げないよう努め、顧客ファーストを貫いている。
9年前と比較すると坪単価が大きく底上げされているのが分かる。
また1位の住友林業と9位のヤマダホームズでは坪単価が約25万円の差。
前回より5万円の差が開いた。
9年間の坪単価値上げ額ランキング
- 住友林業 (23.4)
- 大和ハウス工業 (18.5)
- 積水ハウス (17.1)
- パナソニックホームズ (17.0)
- 三井ホーム (14.9)
- ヘーベルハウス (13.5)
- ヤマダホームズ (9.7)
- ミサワホーム (8.2)
- セキスイハイム (7.8)
(単位:万円)
3社が10万円以下の坪単価値上げ。
5社が10万円台の坪単価値上げ。
住友林業だけがこの9年間で20万円以上もの坪単価値上げに踏み切った。
今までトップ3に入っていた三井ホーム・ヘーベルハウスがまさかの5位と6位といったところも見所だ。
1年辺りの値上げ額ランキング
- 住友林業 (2.6)
- 大和ハウス工業 (2.0)
- 積水ハウス (1.9)
- パナソニックホームズ (1.8)
- 三井ホーム (1.6)
- ヘーベルハウス (1.5)
- ヤマダホームズ (1.0)
- ミサワホーム (0.9)
- セキスイハイム (0.8)
(単位:万円)
こちらのランキングは上記の『9年間の坪単価値上げ額ランキング』と同じ順位。
9年間の値上げ額を9年で割り、平均値を示した。
ヤマダホームズ・ミサワホーム・セキスイハイムの3社は1万円程の値上げ。
値上げをなるべくしないよう頑張っているように感じた。
1位と9位の差は3倍以上。
企業の色が濃く表れたと言える。
9年間の値上げ率ランキング
- 住友林業 (31.4)
- 大和ハウス工業 (26.4)
- パナソニックホームズ (24.3)
- 積水ハウス (23.0)
- 三井ホーム (18.1)
- ヘーベルハウス (16.4)
- ミサワホーム (12.2)
- ヤマダホームズ (11.5)
- セキスイハイム (10.2)
(単位:%)
こちらは2009年を基準に2017年時点で『坪単価が何%上昇したか』を表した。
この数値は企業の伸び率とも捉えられる。
5社が10%台の値上げ率のなか、住友林業は驚異の30%台。
このペースでいけば2018年にも坪単価100万円台が見えてくる。
5つのランキングから見えてくるもの
やはり住友林業の伸び率は驚異的。
今後日本のハウスメーカーを牽引していくようにも感じた。
またこちらは住宅部門。
商業施設やマンションに力を入れる積水ハウス・大和ハウス工業にも目が離せない。
企業全体が潤う事により、新しい商品開発にも力を入れられる。
値上げ率ランキングが裏付けているように感じた。
値上げの裏側
2020年の東京オリンピックが決まり、人件費・建材の値段が高騰している。
私が1年以上調査を続けてきた一条工務店も2018年には4万円の坪単価値上げを実施。
理由はオリンピックによる人件費・建材の高騰。
直近の4万円の値上げは確かにオリンピックによる影響はあるのかもしれない。
ただそれ以前も各ハウスメーカーは1~2万円の坪単価値上げを実施していることが分かった。
値上げはオリンピックが終わっても収まることはないだろう。
値上げは企業利益を上げるためだけにされているのではない。
度重なる増税によるもの。
増税分の人件費を確保するもの。
より良い家を建てるための研究費。
運送費・建材の高騰。
低金利により安く家を買える時代。
様々な背後要因が見えてくる。
坪単価には触れていないが、現代のハウスメーカーに『NO!!』を突きつける建築家も現れた。
上記の記事でも紹介しているが、日本の建築業界は利益至上主義になりつつある。
もっと詳しく知りたい方はこちらの本が面白い。
ハウスメーカーの家は売ることで利益を上げ、更にはリフォームによって利益を積み上げる構図になっていると著者の澤田升男氏は一刀両断。
読みごたえのある本だ。
また日本には8社会(はっしゃかい)と呼ばれる大手ハウスメーカーが存在。
日本の建築規制・補助金のしくみを変え、ハウスメーカー有利の国にしようとまで動いている。
おわりに
今回紹介したランキングは大手ハウスメーカー9社に絞り紹介した。
『日本一高いハウスメーカー』との呼び声もあるスウェーデンハウスが入っていない点は心残り。
しかし2018年は住友林業を抜き、三井ホームが再び一番高いハウスメーカーとの噂も流れている。
この記事が読者様にとって何かのきっかけになれば幸い。
後悔の無い、心が豊かになる家が建つことを願っています。