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注文住宅の相見積りは不可能で無意味|家は買うものではなく建てるもの

注文住宅の相見積りは不可能で無意味|家は買うものではなく建てるもの
当記事は世間で一般的とされている『家づくりの常識は非常識』について私の経験と共に書き留めたものです。
1万文字(原稿用紙25枚分)と、サクッとブログを読みたい方にはとても長いもの。
本当で家づくりに取り組んでいる方には是非とも読んでいただきたい記事ではありますが、お時間の無い方はまた当記事を訪れていただけると幸いです。


記事の内容としては注文住宅の相見積もりが不毛である点、『家は人生で一番高い買い物』といった広く出回った価値観が家の在るべき姿を崩している点、家づくりは住宅業者と施主の共同プロジェクトである点、失敗しない住宅業者の選び方について。
まずは家づくりを取引業界の観点から覗いてみましょう。



取引の種類

世の中の取引には当然ながら売り手と買い手が存在します。
私たちが日頃の買い物も取引の一部。


『コンビニで100円のおにぎりを買う』
『ユニクロで2,980円のトレーナーを買う』


これらは売り手が市場とニーズを見定め値段を定め、買い手がその価格が適正だと判断した際に購入をするもの。
これは「等価な価値を交換する取引」と言えます。


一方、英会話塾やスポーツジムはどうでしょう。


『1回3,000円を支払えば必ず英語が話せるようになる』
『月に10,000円を支払い何度もトレーニングすれば必ず痩せる』


そんなことはありませんよね。
スピードには個人差があれば、やる気次第で結果が大きく変わります。
パートナーに支えられながら改善を繰り返し習得するものです。
これは「両者で共に創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」と言えます。


そして家づくり、特に注文住宅は後者の「共同プロジェクト型」であることを意識しなくてはなりません。
『家は買うものではなく建てるもの』というのも、「等価交換型」ではなく「共同プロジェクト型」であるがゆえ。


家づくりの失敗の多くは『こっちは高いお金を払ったのに満足いく家にならなかった』と、「等価交換型」と勘違いしているケースがほとんどです。
家づくりはトラブル前提の共同プロジェクトであり、そのためには施主である自分達もプロジェクトに参加する一員だと気付かなくてはなりません。


等価交換はイメージが付きやすいでしょう。
しかし共同プロジェクト型は少しややこしいかもしれませんね。
前例で挙げた英会話塾でイメージしてみましょう。


塾生である自分は『英語を話せるようになる』という目標のもと、月謝を払い塾に通います。
『○円払って自分の物になる』といった感覚で『○○万円払えば英語を話せる』訳ではありません。
そこには自分の意欲や上達スピード、教える側のスキルや経験が大きく影響してきます。


言い方を変えれば『英会話スキルを学ぶ側と教える側、共に成長する共同プロジェクト』であり、自分は英会話を学ぶために試行錯誤し、教える側はより分かりやすく伝えるために試行錯誤しています。


またお医者さんと患者の関係も同じことが言えます。
『風邪を引いた』『手術を受ける』これらに関してもお医者さん一人でどうにかなる問題ではありません。


自分「健康を下さい」
医者「はい5万円です」


こんな話はありませんよね。
患者は自分の症状、過程をしっかりと伝えなければお医者さんも的確な判断をできません。
また処方された薬を飲み続けなければ風邪が治らなければ、術後に禁止行為(運動や食事など)をしては治るものも治りません。


医療とはお医者さんと患者が共通の目標に向かい共に努力して価値を生み出し、その価値をお医者さんは収入ややりがい、名声や経験値とします。
そして患者は健康として分け合う共同プロジェクト型の取引なのです。


世の中の取引は「等価交換型」が8割、「共同プロジェクト型」が2割と言われています。

トラブル前提のプロジェクト

家づくりはトラブル前提とお伝えしました。
そして住宅業者(ハウスメーカーや工務店など)はこのトラブルを回避するためのパートナーです。


例え土地を購入するにあたっても国の法律や県の条例などにより、施主が思い描く家が建てられないケースがあります。
これは近隣住民の日照権であったり、土地に接する道路幅の関係からセットバック(道路から離して家をたてる)が必要なケースも出てきます。


はたまた不動産屋がネット上に出している情報だけでは分からない事も多々あります。
地盤の強度であったり、上下水道が敷地内に取り込まれているか、また取り込まれていてもどこまで引き込んでいるのか等々…。


土地も家も知識のない素人では判断がつきませんし、気づくことすらできず不動産屋のカモになる可能性を秘めています。


また、家を建て始めて(着工して)から近隣住民とトラブルになる事もゼロではありません。
着工前に設計意図や騒音問題を丁寧に説明することが求められてきます。


住宅業者は起こりうるトラブルを未然に防ぐためのパートナーであり、『お金を払っているから自分(施主)の方が偉い』なんて事は決してないのです。

2つの取引の大きな違い

そして「等価交換型」と「共同プロジェクト型」には大きな違いがあります。
それがトラブル発生時の対応です。


「等価交換型」は売り手と買い手が「完璧な価値」を共有しています。
よって未払いであれば買い手が、製品の不備があれば売り手が単独で解決する義務を負います。


しかし「共同プロジェクト型」は『問題が起こって当たり前』であり、『それをどう共に解決するか』が重要になってきます。


お医者さんが処方した薬を指示通り飲んでも全ての患者に有効な効果が表れる訳ではありません。
人によっては副作用だけが出る場合もあります。


そのときに『治らなかった、副作用だけが出たからヤブ医者だ!』と文句を言っても何の解決にも繋がりません。
大切なのはお医者さんと協力し、次の一手を一緒に考えることなのです。


家づくりにおいても『お客様が求める間取りでは強度が不十分です』となっても、「お前らはプロだろ!俺の希望の家を建てられるって言っただろ!どうにかしろ!」と言ったところで何の解決にも繋がりません。
大切なのはその改善案を共に考えることであり、そこを理解しないと家づくりは成功しません。

住宅業者のジレンマ

マンションや建て売りは完成された家を住み手に提供しているため、どちらかと言えば「等価交換型」の感覚になりやすいでしょう。
しかし本質としては住み手が求める様々な条件を精査し、立地や資金、仮住まいや引っ越し費用、はたまた近隣住民への挨拶など「共同プロジェクト型」であることを頭の片隅に残しておいてください。


しかし、どうしても家づくりの過程がすっぽり抜けていることから「家は買うもの」と認識してしまう気持ちも分からなくはありません。
その常識が浸透し、注文住宅までも「等価交換型」と認識している人が大半なのも事実です。
そして住宅業者の泣き所でもあります。


手っ取り早く住宅業者が施主に「住宅取得は共同プロジェクトです」と伝えれば良いのですが、これが一筋縄ではいきません。
だって施主は複数社を天秤にかけているのです。


A社「あなたの望む家を建てることができます」

B社「家づくりにトラブルはつきもの、共に良い家を模索しましょう」


ほとんどの場合、候補に残るのはA社です。
ファーストコンタクトにて良いイメージを与えることができなければ2度目の訪問はまずないのですから。


最初に会ったときから「問題が起こるのは当たり前なので、一緒に解決していきましょう。家づくり成功の鍵はお客様の貢献も必要なんです」なんて言いたくても言えないのが現状です。



ポイント

・家づくりは共同プロジェクト
・問題が起こるのは当たり前
・業者と共に問題解決が良い家の近道

成功の鍵はコミュニケーション

家づくりが施主と住宅業者との共同プロジェクトだとすれば、もっとも大切なのは両者のコミュニケーションがスムーズにおこなわれることです。
不信感を片方でも抱けば本音を話すことはできず、結果として満足のいく家を手にすることも提供することもできません。
些細なことでもそうです。


『私は扉を閉める事を親にも妻にも指摘され続けてきましたが、30歳を過ぎた今でも治りません。ストレスなく過ごしたいので、できる限り扉を付けないで下さい』


自分をさらけ出せる人、そうでない人がいます。
しかし、住宅業者の担当者は血縁関係のない他人です。
そんな他人に初対面で自分のコンプレックスを伝えれる人は決して多くはありません。
もっと踏み込んでみましょう。


『私はトイレに入ってもドアを閉めません。妻もそうです。臭いが残ることが何よりも苦痛なので、トイレにドアを設置しないで下さい』


ここまで家族のセクシュアルな部分をオープンにするのは勇気がいります。
また自分だけならまだしも、妻の事まで他人に伝えるのは…。


時にはオブラートに包み事なきを得るかもしれません。
しかし、都合の悪い部分をオブラートに包み込みすぎてはお互いにもどかしさが残り、最良の家を建てることはできないケースがほとんどです。


ここで住宅業者は『これ以上踏み込んではいけない。施主の思いを汲み取る』これが大切。
一番良いのは『何でも言える、言ってもらえる関係を築く』ことに他なりません。


お金に関して言えば見栄を張る人、むしろ謙遜して過小に伝える人がいます。
住宅業者が床材で5万円/㎡と2.5万円/㎡のサンプルを提案してきます。
安い方が気に入ったとしても『金持ちなのにケチと思われる』と感じる人もいれば『もっと安いので良い』と感じても言い出せない人がいます。


もっとも不毛なのは、お金が理由なのにも関わらず他の理由を口にすることです。
安い方が色のトーンが明るいことから『もう少し明るく優しい雰囲気の床材がいいな』と住宅業者に伝えたとします。


無知な施主は色のトーンが明るくなれば安くなると思っても、業者は『価格に問題はないんだな、5万円/㎡のシリーズからもう少し明るく優しい床材を探そう』となり、結果として第二案、第三案でも決まらない悪循環へ陥ります。


この点に関してお勧めなのは、家づくりを擬似的な仕事だと考えることです。
自分の見栄や劣等感は一旦おいて起き『この仕事の予算は3,000万円だ』とラインを引いて取り組みましょう。
予算内で納めることが自分の役割であり、高ければ躊躇なく意思表示をすることが求められます。


家づくりは住宅業者と施主の共同プロジェクトなため、予算内で最高の成果を上げるにはどうすれば良いのか、それぞれ知恵を出し合うことが最も有効な手段です。


ポイント

・コミュニケーションが成功の鍵
・見栄と劣等感は不信感しか生まない
・仕事と割り切ることが大切

相見積りは不可能であり無意味

雑誌やネット上では複数社から見積もりを貰い比較する”相見積もり”を推奨していますが、正直言って取引の世界では『異なる商品を相見積もりすることは全くもって意味をなさない』と言われています。


家づくりでも同じことが言えます。
ハウスメーカーでも工務店でも、まったく同じ仕様・デザイン・工法・性能の家を建てることはできません。
例え同じ間取り図を複数社にお願いしても設計図の段階では自社の色が必ず出ます。


ヤマダ電機とビックカメラで同じメーカー・商品のテレビを相見積もりするのなら相見積もりは有効です。
家づくりの相見積もりをテレビで例えるならば…。


「ヤマダ電機ではシャープの50インチテレビが15万円なんですけど、ビックカメラではパナソニックの55インチのテレビをそれ以下にできませんか?」


なんて言っているようなものです。
家電屋の店員からしたら聞く耳を持ちませんよね?
しかしハウスメーカー同士の相見積もりでは…。


「積水ハウスでは35坪3,000万円でしたが、ダイワハウスでは37坪3,000万円で建てることができますか?」


こんな質問が日常茶飯事で飛び交っているのです。
もちろんダイワハウスとしては「(グレードの低いシリーズであれば)全然建てることができます!」と言うでしょう。
「なんなら○○○万円程は勉強させていただきます」と付け足すほど。


値引きの話は置いておきますが、相見積もりから生まれる比較は決して同じ仕様ではなく、不透明な部分が多い状態での目安でしかなく、詳細な打ち合わせを進めるたびに金額は大きく変わっていきます。


また、各社により見積書の項目ごとの基準がバラバラで比較することができません。
『仮設工事』の欄はどの住宅業者でも設けますが、大工さんが使う卓上のこぎり用のコンセントや照明など、仮設電気工事をこの項目に入れる業者もあれば別で設けたり、はたまた全体的な電気工事に含めるケースもあります。


「当社は企業努力により家以外にかかる仮設工事等の金額を他社の半分にまで減らしています」
なんて言えば聞こえがいいですが、しっかりと別で帳尻合わせをしているのは聞くまでもありません。


『基礎工事』の金額で数十万円の差が出てもコンクリート・鉄筋の種類や量によりさまざま。
耐震性能に細心の注意を払いハイスペックにする住宅業者もあれば、住宅を軽量化し低くすることで揺れにくく建築基準法で定められる最低ラインで設計する住宅業者もあります。


住宅会社の考え方により大きく変わる部分でもあり、基礎はよほどのことが無い限り仕様変更がされない箇所。
なのに「A社の方がB社より基礎が20万円も高かった。本当は安くできるのに変更してくれない。荒稼ぎだ!」なんてことは、あまりも的外れ。


型番を決めた数十万円程度のトイレやユニットバスなどの部分リフォーム比較ならまだしも、様々な経費が積み重なり何千万円もの金額が動く家づくりでは、初期段階での相見積もりにて住宅業者を見定めることは不可能であり無意味なのです。


でも業者比較は必要

相見積もりは「目安」を知る程度であり、判断基準にはしてはいけません。
そもそも自分たち家族が本当に求める家の大きさ・デザイン・仕様など、イメージをできていない家庭がほとんど。


全く異なる家を価格で比較することは、メーカーの異なるテレビを比較するようなもの。
デザインや性能は比較できても、価格は目安にしかなりません。
またテレビよりたちが悪いことに、契約後に金額が大きく変わるのですから。


そしえ家づくりに終わりはありません。
新たな欲求が次から次へと押し寄せてきます。
これらを取捨選択することが家づくりの醍醐味でもあるのですが、なんせ初めてのことで思考回路が停止しやすのも事実。



現代を代表する2人の建築家さんは、共に大きな家よりも大切なのもがあると訴えています。


「4人家族は24坪の家で十分豊かな生活を送ることができる」

「30坪の家であれば4人家族の夢を叶えることができる」


家のプロである方々と一般人の感覚は遠く離れています。
『本当はそんな大きい家は物に固執し物が溜まりやすく、更には掃除など手の届かない箇所が多く発生する』
そんなプロの見解を聞かずして、現代の日本に漂ったバブル時代からの風潮『大きな家が良い家』に安易に心を委ねることはとてももったいないことです。


大切なことは『自分たちの理想の家を自分たちでつくる』ことではありません。


住宅のプロに『プロのフィルターを通してみた我が家を提案してもらう』ことが最も大切であり、最も家族に最適な家を手にすることができます。


その提案を採用しなかったとしても自分達では思い浮かばなかったアイディアであったり、新しい家のカタチを知ることができます。
これに気づけず家づくりを進める施主がほとんど。
まずは視野を広げることから始めることを強くお勧めします。


ローコストハウスメーカーで大きな家を建てるのもいいかもしれません。
しかし建てる前、いや契約する前に小さくても中身の詰まった家を体験することは決して自分にとってマイナスになりませんし、むしろ新たな可能性を見出せるかもしれません。


しかしローコストハウスメーカだからダメ、大手ハウスメーカーだから良いという話でもありません。
最終的には前述したとおり、出来る限り自分を偽らずコミュニケーションをとれるパートナーと出会うことの方がより家族に合った家を手にすることができます。


またコミュニケーションと同じか、下手したらそれ以上に大切なこともあります。
それが住宅業者の提案力です。


人間的には馬が合い良い人でも、経験値も提案力も無ければ理想の家は手に入りません。
しっかりと提案力を比較することが大切です。


手っ取り早く住宅会社の担当者の提案力を比較するのであれば方法は2つあります。
1つ目はその人が手掛けた家(施工事例)を見る事。
その人が出せる力量以上の家は実現しません。
最低でも写真を複数件、できれば実際に建てたお宅訪問ができればベストでしょう。


デメリットとして、その人が手掛けた施工事例の写真だったり実際の家を見るのには幾分か時間がかかることが挙げられます。
夫婦・担当者・住み手の時間を合わせることはすぐにはできませんし、写真だけ見せてもらうのにも準備に時間を要する場合が多いです。
共働きであったり小さなお子さんがいる家庭では時間も体力も多く使うため重い腰が上がらないかもしれませんが、是非とも確認してほしい点です。


2つ目は間取りを提案してもらうこと。
間取りの提案は担当者の色が濃く表れます。
万人受けする標準的な間取りを提案する人、多少予算オーバーしても施主の理想を全て詰め込む人、無駄を省き担当者がその家族に予算も含めて最適だと思う間取りを提案する人。
様々なケースの担当者がいます。


今後半年から1年、下手したらそれ以上の期間共にプロジェクトを進めるパートナーです。
最初から全力で提案してくれる人でなければ、必ず起こるであろうトラブルを乗り越えることなどできません。
妥協することなく複数社から提案を受けることをおススメします。


その家庭を豊かにする間取りは1つではありません。
様々な視点から覗き込むことで違った心地よさが生まれます。
そのためにも複数社から間取りを提案してもらうことは必須事項ともいえるでしょう。


また、複数社から提案を受けることの1番のメリットは住宅業者と自分たち家族との相性、自分に合った家を知ること、間取りの良し悪しを判断できるようになること
家づくりはだれもが素人です。
初めから的確な判断はできません。


私も活用したタウンライフ家づくりはネットから3分ほどで記入できる家族の要望を送信するだけで自分が建てたいエリアの住宅業者から無料で複数社から自分達家族オリジナルの間取りを提案していただけます
合わせてオリジナル間取りを建てたときの見積書、施工事例の載ったカタログ、土地探しまで全て無料。


現に私も提案頂いた間取りから視野を広げ、家族に合った家を見出すことができました。
更に一般には出回っていない土地を紹介してもらえ購入できたので参考までに。


タウンライフ家づくりを利用したメリット・デメリットは下記記事にて紹介しています。

まとめ

最後に当記事にて伝えたかったポイント10点を振り返りまとめとさせていただきます。
長い記事を最後までお読みいただきありがとうございました。
皆様がより家族と幸せに暮らせる家を建てることができるのを願っています。



ポイント

①家づくりは共同プロジェクト
②問題が起こるのは当たり前
③業者と共に問題解決が良い家の近道
④コミュニケーションが成功の鍵
⑤見栄と劣等感は不信感しか生まない
⑥仕事と割り切ることが大切
⑦担当者が手掛けた家と施工事例を見る
⑧間取りを書いてもらう
⑨提案力を見定める力をつける
⑩相見積りは不可能で無意味

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